第25章 追憶
ハァァァ・・・
あからさまなため息をついてみる。
「ひと言じゃ無理って、なんだ。聞くだけ聞いてやるから早く言え」
俺が話を振っちまったようなモンだからな。
及「う~んとねぇ・・・暴力的でしょ?あと、すぐ怒る、約束破るし、」
「俺がいつそんな事したよ?!」
及「・・・したよ?オレとの、大事な約束・・・」
及川との、大事な・・・約束・・・?
・・・なんの事だ?
及「忘れちゃってんなら、別にいいさ?新しい歯車は、周り始めてるしね」
「どういう、事だ。つうか、そのポーズ余計に腹立つからヤメロ」
何なんだ、この挑発的な及川の顔は。
何が・・・言いたいんだ?
及「だーかーらー!忘れてんならいいってば。あ、あとこんなのもあるよ?イジメっ子でしょう?後ねぇ、ゴリラでしょう?・・・それから最後に・・・」
今、ごく普通の流れで悪口入ってた気もするが、とりあえず後で問い詰めるとして。
「最後に・・・何だ」
及「・・・意気地なし」
・・・?!
及川のひと言に、思わず息を飲んだ。
鏡越しの及川が、俺を真っ直ぐに見据えている。
意気地なし・・・だと・・・?
「・・・お前が普段から俺をどう思ってんのか、よーーーく分かった・・・松川、花巻」
松「あ?」
花「ん?」
「及川をしっかり捕まえとけ」
力任せに音を立てながらロッカーを閉める。
及「え?い、岩ちゃん?なに?・・・って言うか、まっつんもマッキーもなに本気でオレを掴んじゃってんの??捕らわれた宇宙人みたいな捕まえ方やめて!」
松「まぁ、今のはちょっと」
花「及川が悪い、と思う」
及「ちょっと!今から何が始まんのさ?!」
バタバタする及川の目の前に立ち、瞬きひとつしないで及川を見続けた。
及「あの、岩ちゃん?これから何しようとしてるか、聞いてもいいかなぁ?なんて?」
「冥土の土産に教えてやる・・・今から俺の気が済むまで、お前をブン殴る」
及「人間サンドバッグ?!ちょっ?!い、岩ちゃん?!オレがダメージ受けたらセッターいないよ?!」
「あぁ、そうだな・・・セッターがいないと、俺達スパイカーは困るよな・・・」
1度は振り上げた拳を、静かに降ろす。
「セッターっつう司令塔がいなかったら、チームとしても・・・成り立たねぇな」
及「だ、だよね?!ね?!だから、さ?」