第25章 追憶
~岩泉side~
練習終わりの集合中、コーチの携帯に烏野の顧問から連絡があった。
会話の中で、レントゲンやら、脳波がどうとか・・・気が遠くなりそうな単語が次々と出てきて、俺は目を閉じた。
溝「検査の結果、頭部外傷に関しては何もなく無事だったらしい。でっかいタンコブ位で済んだって言ってた。で、足の方は明日の朝、整形外科で診察をするのと、今夜は一応念のために入院扱いになるそうだ」
及「入院・・・病院で、1人で心細いだろうなぁ」
及川の言うことは確かだ。
紡・・・寂しがりで、怖がりで・・・甘ったれだったからな。
1人で急に入院ともなれば、寂しがるだろうな。
連絡くらい・・・入れてやるべきだろうか。
溝「向こうの顧問の話だと、彼女のお兄さんが医師として勤務している病院だから、出来る限り付き添っていられるとか言ってたぞ」
及「お兄さん・・・桜太さんの事か!」
紡の兄貴の?
あぁ、あそこの病院か。
じゃなくて!
なんで及川が紡の兄貴の事を知ってんだよ?!
いつだ?!
いつ知り合ったんだ?!
少なくとも、俺が紡と関わり合っている間は及川と紡の兄貴が接点持つ事なかったよな?
じゃあ、なんでだ?
浮かび上がる疑問を押さえ込み、話の続きに耳を傾ければ、紡が元気になったら青城へ挨拶に来るとコーチが話していた。
挨拶?
まさか1人では来ないだろうから、保護者とか?
もしくは、烏野の顧問とか。
あと、考えられるのは・・・
烏野の主将、とか?
可能性は・・・なくは、ないな。
溝「だか、しかし!その日が来たら及川、お前と・・・あと矢巾。2人は接触禁止な。及川の代わりに岩泉、お前が対応しろ」
え、俺が?
矢「なんでオレまで・・・」
及「そうだよ溝口君!なんで接触禁止?!」
溝「お前ら2人は前科アリだからだ。失礼な対応は出来ないだろ」
コーチ、たまにはイイこと言うじゃねぇか。
確かにコイツら2人は要注意危険人物だからな。
・・・特に、紡に関しては。
及「それなら岩ちゃんだって!・・・痛ったぁ!!岩ちゃん?!」
岩「うるせぇ、グズ川・・・」
いつまでもウダウダうるせぇ及川に、真後ろから蹴りを入れた。
及「なんで?!」
なんでもクソもねぇんだよ。
岩「黙れグズ川、自分の胸に手を当ててよく考えろ」
ったく、コイツはよ。