第25章 追憶
溝「向こうの顧問の話だと、彼女のお兄さんが医師として勤務している病院だから、出来る限り付き添っていられるとか言ってたぞ」
及「お兄さん・・・桜太さんの事か!」
えっ?!
このエロフェミニスト、紡のアニキと面識あんのか?!
溝「いや、名前迄は知らないが、とにかくそう言う事らしい。あと、元気になったら顔見せに来るとか言ってたな」
及「え?マジで?」
溝「だか、しかし!その日が来たら及川、お前と・・・あと矢巾。2人は接触禁止な。及川の代わりに岩泉、お前が対応しろ」
矢「なんでオレまで・・・」
及「そうだよ溝口君!なんで接触禁止?!」
溝「お前ら2人は前科アリだからだ。失礼な対応は出来ないだろ」
プッ・・・コーチに前科アリって言われるとか、ヤバいんだけど。
及「それなら岩ちゃんだって!・・・痛ったぁ!!岩ちゃん?!」
岩「うるせぇ、グズ川・・・」
及「なんで?!」
岩「黙れグズ川、自分の胸に手を当ててよく考えろ」
及「オレの胸に?」
岩「当たり前だ!他に誰がいるんだよ!」
及「・・・岩ちゃん?とか?・・・あ、ごめんなさい、スミマセン・・・岩ちゃんその顔ヤメテ!!怖いから!」
溝「及川うるさい!!」
及「なんでオレだけ・・・」
コーチの一喝で静かになったところで、連絡事項があると話し出した。
その内容は、急な事だけど明日の放課後は体育館の設備検査が入る事になったから、練習は朝練だけで、放課後練習は急遽なしになるという話だった。
・・・明日の放課後、練習ないのか。
その連絡事項は、俺に取っては好都合だ。
さっきのバレッタ、破損してる所があったからな。
家に持ち帰って、直せるなら直してやろうと思ってたし。
紡、大事そうに髪に留めてたからな。
後で、紡にラインメッセージくらい送ってみるか。
ジャージの上からバレッタを押さえて、まだ話が続いているコーチの声を、なんとなく聞いていた。