第25章 追憶
~国見side~
金「なぁ、国見・・・」
「あ~?」
練習が終わり、並んでモップがけをする金田一がポツリと俺を呼ぶ。
金「城戸、どうなったかな・・・」
「さぁな。俺に聞かれても、わかんねぇよ」
何か聞いてみるにしたって、烏野に知り合いとかいる訳じゃないし。
唯一、連絡するとしたら・・・影山しかいないしな。
影山、か。
確かアイツ、紡と一緒に救急車に乗り込んでたな。
聞いてみるにしても、1年近く連絡なんてしてないし。
どーすっかなぁ・・・
病院にいるんじゃ、紡には聞けないよな。
金「ん?なんだコレ?」
隣の金田一が急に立ち止まり、何かを拾い上げた。
金「国見、コレなんだと思う?」
「何がだよ」
拾った物を手のひらに乗せて、俺に向けてくる。
「バレッタ?」
金「それってなんだ?」
「女子が髪を留めたりすんのに使うやつだよ。金田一はそんな事も知らないのか?今日だって紡が付けて・・・」
待てよ?
コレ、もしかして紡のじゃね?
「ちょい見せて」
金田一の手からバレッタをつまみ上げ、よくよく確認する。
・・・やっぱりそうだ。
烏野がコート練習してる時に紡が俺と金田一の所に飛び込んできた時、チラッと見えた。
その後、ネットに絡まった髪を烏野の主将が解いてる時、俺はすぐ近くにいたから分かる。
髪やら何やらが絡まって動けなくなってるのを見て。
何してんだ、しょうもねぇ、手伝ってやるかと近寄った直後、烏野の主将が走って来て紡を助けてた。
あん時の紡達、密着度多くなかったか?
紡も背伸びして烏野の主将にもたれ掛かるとか、くっつき過ぎだろ!
耳まで赤くしやがって。
・・・もしかして新しい彼氏?なのか?
横目でチラリと岩泉さんを見る。
・・・いやいやいやいや。
どう見ても岩泉さんとは逆のタイプだろ。
岩泉さんは、見るからに〖 漢 〗と書いて〖 おとこ 〗と読む様なタイプで。
烏野の主将はそんな感じではない。
ドーンと構えてる感じは岩泉さんと似てるかもだけど、どっちかって言えば・・・
そこかしこで兄弟喧嘩ばっかしてるヤツらをまとまる父親・・・みたいな?
なんかそんな感じだ。
褒める時は褒める、怒る時は怒る、甘えさせる時は・・・
甘えさせる?
それ、1番ヤバくね?
ヤバイよな?