第25章 追憶
何それ、全然分かんないんだけど。
そう返しながら、ため息をついた。
月「別に・・・真っ向勝負で勝てるとか、思ってないデスョ。方法なんて、いくらでもある」
慧「・・・なかなか食えねぇヤツだな」
月「さぁ、どうですかね」
言ってる意味は分からないけど、なんとなく空気がピリッとしたのだけはわかった。
桜「独り占めするとか、慧太はまだまだまだまだお子様だな。はい、そこどいて」
慧「お子様って。オレはちゃんと大人だっつうの、桜太と歳も同じだろ」
桜「そういう所もお子様なんだよ。診察があるんだから、慧太も、他のみんなも外に出て」
桜太にぃが部屋から人払いをして、さっきのおじいちゃん先生をベッドサイドに案内する。
ー じゃ、診察しようか ー
首からかけていた聴診器を耳に付け、シャツの裾をあげて?と言われる。
『あ、待って下さい・・・桜太にぃも、外に出て』
桜「俺も?」
『だって・・・』
いくら医師だと言っても・・・
ー 城戸先生?立ち会わなくても大丈夫ですよ。私もいるし、それに城戸先生はお兄さんですから ー
看護師さんに言われて、そういう事かと呟きながら、桜太にぃは静かにドアを開けて廊下に出て行った。
カルテを見ながら診察される。
黙々と診断を書き込む先生の手を、ジッと見つめながら時間をやり過ごす。
ー うん・・・頭部外傷の方は心配ないみたいだね。ま、ちょっと立派なたんこぶがあるくらいだ。後は今夜様子を見て、足の方は朝になったら整形外科の先生によく見て貰うといい ー
『ありがとうございました。じゃあ、帰りの用意を、』
そう言いかけた所で、おじいちゃん先生は今夜はここにお泊まりだよ、と、私に念を押して笑いながら部屋から出て行った。
やっぱりそうなのか・・・
肩を落とし、入院なんて・・・と考えているうちに外へ出されたみんなを看護師さんが招き入れた。
自分の口から、診察の結果を報告する。
みんなはそれを聞いて、一段と安心してくれたのが伝わって来た。
『凄いご心配お掛けして、本当にすみませんでした』
武「無事なら、それでいいんですよ?ね、山口君?」
『山口君もありがとう。ずっと私を守ってくれたって聞いたよ?』
山「あ、まぁ・・・それは・・・」
『明日から、特別メニュー頑張るんでしょ?応援するからさ、ね?』