第25章 追憶
ひぃぃぃ!!
こ、怖っ!
影山がなんか怒ってる!!
今なら後頭部サーブした時の日向君の気持ちが分かる気がするっ。
影「お前、いい加減その手を離せ!今スグにだ!」
『分かってるよ!そんなに怒らなくてもいいじゃん・・・』
そう言いながら月島君の手を離そうとすると、強く握られグイッと引っ張られた。
『月島君?』
その意図が分からずに、顔を見上げてポカンとしてしまった。
月「王様に言われたから離すとか、ムリ」
影「はぁっ?!いいから早く離せ!」
『あ、ちょっと2人とも引っ張らないで!点滴抜ける~!大地さんも山口君も何とかして!』
ベッドの上で体がグラグラと揺れる。
山「ツッキー落ち着いて!」
澤「影山も紡から手を離しなさい!」
月「王様がご乱心デース」
影「あぁっ?!テメェが王様って言うなメガネヤロー!」
何か余計ややこしくなってない?!
慧「戻った・・・って、何の騒ぎだ?お、紡は目が覚めたのか」
慧太にぃまでここに来てたんだ・・・
いやいや、今はそんな事考えてる場合じゃない!
『慧太にぃ、助けて』
私が言うと、慧太にぃはニヤリと笑いながら歩み寄る。
慧「はい!お前ら全員そこまでにしとけ!あんまウルセェと、桜太が静かになる魔法をかけに来るぞ?」
静かになる魔法?
それを聞いて看護師さんもクスクスと笑い出す。
桜「俺が?」
開いたままのドアから桜太にぃが中に入って来ると、それまでの騒ぎが嘘のように静かになった。
慧「おっと、ラスボスのお出ましだ」
桜「ラスボス?慧太、人聞き良くない言い方やめろって。で、俺がなに?」
澤「あ、いえ・・・」
ひとり意味が分からず、桜太にぃは澤村先輩の顔を見るも、澤村先輩も微妙な笑いを浮かべて誤魔化していた。
慧「桜太は知らなくていいんだよ。でもまぁ、とりあえずはだな・・・」
慧太にぃが言いながらベッドに腰掛け、私の方へと腕の伸ばしてくる。
慧「まだまだ、お前らには・・・うちの可愛い紡はやれねぇって事よ」
私の肩を抱き寄せながら、慧太にぃはそれが当たり前のようにケロりと言い放った。
『慧太にぃ、何言ってんの?意味分かんないんだけど?』
ねぇ?と同意を求めようとみんなを見ると、それぞれに曖昧に目を逸らされた。
慧「紡には分かんなくていーの」