第25章 追憶
桜「あ、ゴメンゴメン、俺」
桜太さんが白衣のポケットから院内専用電話を取り出し、すぐに対応した。
桜「城戸です。えぇ、処置室前にいます。はい、あ、分かりました、ありがとうございました。今から迎えに行きます」
ふぅ・・・と小さく息をついて電話を終えた。
桜「紡の検査、全て終わったって。今から引き取りに行って来るよ」
「あのっ!・・・城戸さん、ここに戻って来るんですか?」
少しの心配事を、桜太さんに投げかけてみる。
桜「ちゃんと、ここに戻って来るよ」
そう言って穏やかに笑いながら、オレの肩に手を乗せた。
「はい!待ってます!来るまでずっと!!」
月「・・・ホント、分かり易いヤツ」
ツッキーがポツリと何か言ったけど、全然気にしない。
桜「慧太、行ってくるから」
慧「こっちは任せとけ」
桜太さんが、白衣を翻しながら颯爽と歩いて行く。
そんな後ろ姿を、オレは、ちょっとカッコイイな・・・なんて思いながら、ずっと見送っていた。