第25章 追憶
「城戸さんが?」
桜「そうなんだ。危うく先生に匙を投げられる所だった。ここまでの検査で何もないなら帰りたいとか、また明日来るからもういいでしょとか、ほんとに・・・困ったサン」
困ったサン・・・とか言いながらも、凄く優しく笑ってる。
きっと城戸さんの事をそう言いながらも、大事に思ってるんだなぁって感じる。
武「可愛らしいじゃないですか。いつも元気な城戸さんらしい、というか。でも今、検査中って事は、ちゃんとおとなしくなったという事でしょう?」
た、武田先生が城戸さんの事を可愛いって言った?!
言った?!
・・・言ったよね?!
やっぱり、城戸さんって・・・いつの間にかみんなの心の中に存在してる・・・
オレ、ほんとに頑張らないと!
桜「あはは、おとなしくなった・・・というより。おとなしくさせちゃった、の方が正しいかな」
・・・ん?
澤「おとなしく・・・させた?」
桜「そう。脳波ってさ、覚醒時でも取ることは出来るけど、今日の紡はそうじゃないから。俺がGOサインして寝て貰った」
武「・・・と、いうのは?」
桜「あまり詳しくは言えないけど、俺は保護者だし、一応は医師だし、まぁ、ドクターにしか出来ない魔法で・・・かな」
えっと・・・なんだろ。
今、もの凄く優しそうにニコッと笑ってたのを見たハズなのに。
オレ、ちょっとだけ・・・ゾクッとしたんだけど。
月「・・・あぁ、そういう事デスカ」
ツッキー?
桜「君は察しがいいね」
月「別に、ちょっと考えれば分かることなんで。でも、いいんですか?ドクターとは言え、保護者・・・」
ニヤリとしながらツッキーが桜太さんに返す。
桜「大丈夫だよ。俺は保護者としてGOサイン出しただけだから。直接的には他の先生が、ね?」
・・・話が全然分からないんだけどっ!
武「あ。僕もその意味が分かっちゃいました・・・」
澤「俺も・・・」
影「・・・ッス」
え?!
なんで?!
分かんないのオレだけ?!
で、でも、敢えて聞くのも・・・なんか怖いよ!
だけどオレだけよく分かんないのも、イヤだし・・・
“ ピリリッ ピリリッ ピリリッ ”
「ぅわぁっ!ビックリした・・・だ、誰?!」
急に着信音が鳴り、思わずビクついてしまった。
だだ、誰だよ!
病院内はマナーモードにしなきゃじゃん!!