第25章 追憶
~山口side~
城戸さんのお兄さんが、レントゲンとか、あとMRI?だとかの検査で、今のところは大事には至らなかったって聞いて・・・凄くホッとした。
だってホントにあの時は、生きた心地がしなかったから。
オレの方に倒れて来た城戸さんを抱きとめた時の・・・感触、とか。
まだ、その感触がオレの腕に残ってるから・・・
脱力した城戸さんの体の重みとか・・・
あ、いや、城戸さんが重たいとかじゃなくて!
体は糸が切れた人形みたいに反応しないのに、温もりだけはあって・・・なんか・・・怖かった。
怖くて、怖くて、絶対に城戸さんを離したくない、離れたくないって、思ったんだ。
オレが、城戸さんを守らなきゃ・・・って。
いつものオレは、ツッキーの陰に隠れてばかりだから。
だから、せめて城戸さんだけはオレが守るって決めたんだ。
桜「それにね、紡にはほんとに参ってさ」
・・・?
澤村さんと話していたお兄さんが、急にクスクスと笑い出した。
城戸さんに、参ったってなんだろう?
慧「桜太、一人で思い出し笑いされてもオレらには全然分かんねぇよ」
もう1人のお兄さんが言うと、ゴメンと更に笑ってる。
あれ?そう言えば・・・
「あ、あの!聞いてもいいですか?!」
オレが言うと、城戸さんの2人のお兄さんは揃って、いいよ、と返してくれた。
「あ、えっと・・・もしかして城戸さんのお兄さんて、双子・・・とか?」
澤「このタイミングでか?」
月「今頃?・・・気付くのオソ」
え?
えっ?!
オレ、聞くタイミングおかしかった?!
急に変な空気になっちゃったんだけど?!
桜「あれ?紡から聞いてなかった?」
「じゃあ?」
慧「そ!オレらは双子なんだよ。こっちが長男の桜太で、オレは次男って事になる。影山達はちょっと前に知った感じだけどな」
「ツッキーは、知ってたの?」
月「ハッキリ聞いたのは今だけど。多分そうかな?位は思ってたし」
「気付かなかったの、オレだけ・・・」
1歩出遅れた感じがして、ちょっとへこむ。
慧「ま、紡が言い忘れてたんだから、気にすんな」
慧太さんはそう言って、オレの背中を叩いた。
桜「紡は困った事に、慧太寄りの性格だからね。ワイルドっていうか、お転婆っていうか。だからさっきも、脳波を取るってなった時に騒いでくれて」