第25章 追憶
それでも・・・行けるところまで、一緒に走って欲しい。
俺達と、一緒にいて欲しい。
みんなだって、きっとそう思ってる。
スガだって、影山だって、山口だって、月島だって・・・
いや・・・
一緒にいて欲しいと・・・一番願っているのは。
・・・俺?なのかも、知れないな・・・
「あの、桜太さん?検査って、あとどれ位で終わりそうですか?」
俺は終わるまで待っているつもりではあるけど、まだまだ長くなるようなら、他の部員達は帰らせた方がいいかと思う。
武田先生は出来る限り残ると言っていたし、だったら俺も残りたい。
桜「そうだなぁ、レントゲンとMRIは終わってて。俺がこっちに来る時に専門の先生がレントゲンやMRIの画像と睨めっこしてたから、今は脳波を取ってる頃かな」
「脳波・・・って・・・」
意識が戻った時、少し記憶が混乱はしていたけど、脳波を調べる程の衝撃を受けていたのかと驚く。
桜「澤村君、そんなに心配しなくて大丈夫だよ。俺も先生と一緒にレントゲンや画像を見てたんだけど、その時点では特別問題はなさそうだったからね。脳波は念のため」
「そう、ですか・・・」
桜「それにね、紡にはほんとに参ってさ」
急に思い出し笑いを始める桜太さんを見て、そんな風に笑えるって事は、大事には至らなかったんだと安心することが出来た。
また、元気な姿で影山を王様って呼んだり、スガをセクハラ大王って呼んだり、俺をムッ・・・いや、それはダメだ。
それは清水が紡に擦り込んだ誤解だ。
危ない危ない、自滅する所だった。
とにかく、無事でよかった・・・
俺は、ここへ着くまでの時とは違う種類の大きな息を吐いた。