第25章 追憶
ポチのお兄さんに言われ、頭を上げる。
慧「今回の事は、うちのお転婆がやらかした事でしょう?だから、そういう謝罪みたいなの、やめて下さい」
武「ですが・・・」
慧「紡もきっと、そう思ってます。それで、影山?紡は今どこに?」
ポチのお兄さんに聞かれ、さっきと同じように王様が説明する。
慧「なるほど、分かった。で、桜太はどうした?一緒に検査に行ってんのか?」
影「いえ、桜太さんは他の先生が来てから、手続きがどうの・・・とか言ってどこかに行きました。桜太さんは、慧太さんが来たら教えてくれって」
手続き?
あぁ、救急搬送されるといろいろと手続きが必要だって事か。
ポチのお兄さんが、影山に言われて電話をかけ始めた。
ってか、ココ病院内デショ?
普通にスマホ使うとか、どうなの?
慧「桜太、すぐ来るってさ・・・それよりも。そこの・・・メガネ君」
「月島、ですけど」
慧「あ~、そうそう。月島君ね。オレが電話かけた事に違和感があるみたいだけど、心配すんな。ここの病院は院内通話可、の病院だ。もちろん手術室とかの前はアウトだけどな」
なんで考えてた事がバレたんだ。
別にこれといって顔を出してた訳じゃないのに。
「別に、そんな事・・・」
僕がそう返すと、そっか?じゃ、オレの気のせいか?なんて言ってくる。
直感的に、僕と合わないタイプだと、そう思った。
あぁ、そうか。
こういう感じ、ポチも似てる。
さすが血縁者。
でも、疑問に思う事がある。
ポチが・・・この兄と似ていて。
この兄を僕は合わないタイプだと直感した。
けど。
じゃあなんでポチが何かに付けて気になるんだ。
ここ数日・・・ポチはずっと、僕の心をかき乱している。
何でだ・・・
その答えが見つけられないまま、僕はみんなの会話を聞いていた。