第25章 追憶
見られたくないと思っていた事も忘れ、影山の方を向いた。
影「あぁ、あれは月島が山口に怒鳴って連行してったから」
『月島君が?!・・・貴重な場面が、見れなかった・・・』
影「そこかよ!」
そっか・・・山口君、自分のせいだと思っちゃったんだ・・・
明日学校行ったら、山口君にもう1回謝ろう。
涙の後を消すように、目元を擦る。
影「お前さ、いまその顔・・・すっげーブス」
『はぁ?!失礼過ぎるでしょ!こんな可愛いお女の子に・・・』
そこまで言って、笑いが込み上げる。
自分で可愛いとか、笑っちゃう。
でも何か今ので、少し気持ちが軽くなった気がした。
『影山、何かありがとう』
笑いを浮かべながら、影山にそう伝えた。
影「お前は・・・そうやっていつも笑ってろ。ブスでも笑顔は3割増とか言うだろ」
『影山、酷すぎる・・・って、今の・・・誰かにも言われたような・・・』
誰だったっけ・・・
影「お前どんだけ泣き顔のブス撒き散らしてんだよ」
『ブスブス連呼しないでよ!あ、思い出した!
国見ちゃんだ!』
影「・・・国見?なんで国見が」
急に影山の顔が強ばる。
『あ~、えっと、何でだっけなぁ・・・そこは忘れちゃった。ま、いいじゃない』
・・・本当は、覚えてる。
国見ちゃんがイチイチ岩泉先輩と似たような言動をするから、まだその頃はそれが苦しくて・・・
それで・・・
ちょっとだけ泣かせてもらって・・・
その後、キスくらいしとけば良かった・・・とか?
や、ヤバッ!!
思い出せば思い出すほど恥ずかしい!!
影「テメェ何で顔を赤くしてる?!国見と何があった?!国見に何された?!おいっ!!」
『いいい、いや、まだ何もされてないから!』
影「まだって何だ?!何かされそうになったのか?!」
『だから、何もないって!未遂だったから!』
[ あの~、お2人さん?その辺の話は後にしとこうか?・・・病院着いたから・・・ ]
・・・・・・救急車の中だってこと忘れてた!
今までの会話を全部聞かれてたとか、恥ずかし過ぎる!!!
『か・・・影山のせいだからね』
影「はぁ?!何でだ!!」
言いながら窓からよく知った病院の名前が見えて来る。
[ 着きましたよ~。じゃ、後ろ開けますね ]
隊員さんの、のんびりとした言葉にため息が零れた・・・