第25章 追憶
自分から手を重ねちゃったりとか、やばいヤツだと思われたらどうしよう・・・
でも、そんな心配をどっかにやってしまうくらい城戸さんの手は柔らかくて、小さいなぁ・・・
オレの手の中にスッポリ入っちゃうくらいだ。
城戸さんの体格からして、それは当たり前なんだけど・・・けど・・・
オレはこの小さい小さい手に、いつも励まされてる・・・よな。
まだまだ、ダメ男じゃん、オレ。
いつか、オレがこの小さい手を引っ張って、心配すんな!オレに任せろ!・・・とか言ってみたい。
来るかな?・・・そんな日・・・
『ありがとう山口君。でも良かった。私って山口君と話をする時、だいたいお説教じみた事ばっかりだから嫌われちゃうんじゃないかとハラハラしてた』
オレがちょっと道はずれな考え事をしてると、城戸さんがそんな事を言って来るから、思わず、そんな事ないよ!!なんて力説しちゃったよ。
『でも、こんな風にまっすぐ見つめられて、大好きだよ!とか言われるとドキドキしちゃった。世紀の大告白されたみたいで』
「え?!」
ま、待って城戸さん?!
世紀の大告白でははないけど、でも!
城戸さんの事を好きだって思う気持ちは・・・本当なんだけど?!
「ストレートに気持ちを投げてくれる山口君の彼女って、きっと幸せ者だね?」
いや、だからさっ!
「あ、あのさ、えっと・・・か、彼女なんかいないよ」
いろんな気持ちが混ざり合って、顔が熱くなる。
『彼女、いないの?てっきりいるものだと思ってた。山口君ってこんなに優しいし、素直にいろいろ話してくれるのに勿体ないなぁ。みんな見る目がないんだねぇ・・・ちょっとだけ、ネガティブな所もあるけど』
そう言ってくれるのは、嬉しいんだけどね・・・
その見る目がないなぁっていう中に、多分、城戸さんも入ってるんじゃないかなって、思うよ・・・ん?ネガティブって?
「え?ネガ・・・」
『何でもないよ?さ、遅くなっちゃうから片付けしちゃお?』
城戸さんは笑いながらスクイズボトルを詰め込んだカゴに手をかけた。
「そうだね。あ、オレが持つってば!」
『甘やかさないでって。コレくらいホントに大丈夫なんだから』
せめて2人で持とうよ?と言ってカゴ持ち、2人で立ち上がりかけた時に、叫び声がした。
ー 危ねぇっ!!! ー
青城の人が叫んだ直後に・・・