第24章 孤独と絶望感
審判のホイッスルを待つ間、及川先輩がボールをつく音が聞こえる。
あ、音が止まった。
別に何を意識している訳でもないけど、これからサーブ打つんだな・・・と、及川先輩に視線を移した。
及「いくら攻撃力が高くてもさ・・・その攻撃まで繋げなきゃ、意味ないんだよ?」
怪しげな笑みを浮かべ、及川先輩が言った。
・・・どういう、意味だろう?
ほんの一瞬、瞬きをすると、及川先輩がボールを掴んだまま烏野のコートを指した。
・・・なに?!
思わず指された方向に目を向ける。
月島君を・・・指してる?
・・・?!
『月島君!!来るよ!!』
私は及川先輩が月島君を指した意味が分かり、
声を上げた。
同時に審判がホイッスルを鳴らし、及川先輩がジャンプサーブのフォームに入る。
え・・・なに・・・?
いま及川先輩、フォームの途中でこっち見た?!
それだけまだ余裕があるって事?!
月島君に向けて打ち込まれたサーブは、見事なまでに月島君の腕を弾きコートの外へどころか、ギャラリーのいる2階の柵まで飛んで行った。
及「うん、やっぱり。途中見てたけど、6番のキミと5番のキミ・・・レシーブ苦手でしょ?1年生かな?」
不敵に笑う及川先輩に、烏野側に緊張が走ったのが私にも伝わって来る。
及「じゃ・・・もう1本」
審判のホイッスルの直後、及川先輩がまたも月島君を狙ってサーブを打つ。
・・・月島君はまた、それを弾くことしか出来なかった。
山「ツッキー!!」
澤「ドンマイ!月島!!」
及川先輩のサーブで・・・あっという間に2点も・・・
これが、本来の青城の・・・形?
及「お?あと1点で同点だねぇ」
まるで自分は何もしていないのにとでも言うように、及川先輩が呟く。
日「おぉぃ、コラ!大王様!オレも狙え!!取ってやる!狙えよー!」
取ってやる?・・・いや・・・日向君こそムリだからね・・・
月「みっともないから喚くな!」
日「なんだと?!・・・いいかバレーボールっつうのはなぁ、ネットのこっち側にいる全員!もれなく味方なんだぞ!!」
日向君それ、さっきの田中先輩の・・・それ言ったら・・・
田「なんて素晴らしい名言!!」
・・・ほら。
それにしても月島君、今日1番のってくらい不機嫌な顔してる、っとと。
思わず笑いを浮かべると、月島君に物凄く睨まれた。