第24章 孤独と絶望感
口に出さなくても伝わる言葉。
伝わってくる、言葉。
でもさ、岩ちゃん。
大事な事ほど、言葉にしなきゃ伝わらないって・・・知ってる?
そんな思いを秘めながら、岩ちゃんに背中を向けて歩き出す。
1度だけ足を止め、紡ちゃんを振り返ると、オレが口付けた手首を押さえて何かを考えているのが見えた。
意識、してくれた?
いつか、紡ちゃんがその口付けの意味を知った時。
どんな顔をするのか、凄く興味があるよ。
その日がいつ来るのかさえ、まだ、分かんないけどね。
薄く口元を緩ませながら、オレがこれから仕事をするべき場所に向かう。
見ててよ、紡ちゃん?
ここにいる誰よりも、オレの事を。
床に置かれたボールを広い、もう1度紡ちゃんに視線を送る。
振り向け!
振り向け!
振り・・・おっと?!
遂に紡ちゃんがこっち見た?!
オレは軽く微笑んで手を振ってみるも、紡ちゃんは妙にぎこちなく笑ってて。
すぐに前を向いてしまった。
ちぇ~・・・せっかく念が通じたかと思ったのに。
岩泉先輩と仲良しの、及川先輩。
同じ中学出身の、及川先輩。
今はまだ、その程度でいいさ。
〖 私の及川先輩 〗
そう思ってくれる日を信じて、攻め続けるから。
だから、待っててよ?
紡ちゃん・・・