第24章 孤独と絶望感
~及川side~
入念に・・・もう、これ以上ないくらい念入りにアップと柔軟をこなす。
出来るだけ、紡ちゃんの近くで。
別に、プレッシャーを与えたいわけじゃ、ない。
ただ、オレの存在を意識させたい。
それだけ。
オレがどれだけ紡ちゃんを好きだったかなんて、オレ以外、誰も知らない。
あの日・・・
紡ちゃんが岩ちゃんと晴れて恋人同士になった、あの日。
紡ちゃんは幸せそうだったし。
岩ちゃんも・・・紡ちゃんを大事にするって言ってたし。
だから、紡ちゃんへの想いは・・・ねじ伏せた。
岩ちゃんは幼なじみで、相棒で、オレの1番の理解者で。
岩ちゃんにだったら、紡ちゃんを攫って行かれても許せる・・・かな?とか思ってた。
だから、次々に押し寄せる、オレのファンだっていう女の子達の声援とプレゼントで、満足してる“ フリ ”をしてた。
なかには熱烈な女の子もいたけど、そういうのは全て断ってきた。
もちろん傷付くことがないように、ソフトに、優しく、紳士を演じて。
オレの中で・・・紡ちゃんの代わりはいないから。
このままずっと2人が幸せに笑っていてくれるなら、オレも高校卒業して、大学行って、いつか社会人になって・・・
その時、紡ちゃんへの想いが薄れていたら、それから先のパートナーを探すのだって・・・遅くはないと思ってた。
・・・なのに。
オレの知らないうちに、知らない所で、何の相談もなく・・・紡ちゃんの手を離した。
紡ちゃんから初めて打ち明けられた時は、ぶん殴ってやりたいくらい怒りに震えた。
まぁ・・・実際に殴っちゃったけど。
それくらい、2人の幸せを・・・願ってたんだ。
それも今日で終わり。
もちろん2人が幸せになる事は、応援する。
でも、2人で、じゃない。
“ それぞれが ”だよ。
岩ちゃんと紡ちゃんが、それぞれに幸せになる事を応援する。
岩ちゃんは岩ちゃんの、紡ちゃんは紡ちゃんの幸せを。
だから、チャンスは譲らない。
紡ちゃんへの想いも・・・隠さない。
もし・・・紡ちゃんがオレじゃない、他の誰かを選んだとしたら。
その時は・・・
それでも、攻める。
困らせたい訳でも、略奪したい訳でもない。
オレが、オレ自身が納得出来るまで・・・攻める。
いつも言ってるじゃん?
【 叩くなら 折れるまで 】