第24章 孤独と絶望感
急に小声で言われ、私は言われた通りに体を前に向けた。
国「紡がこっち向いてたら、及川さんに俺達が話してるのバレるだろ」
『別にそれ位は大丈夫なんじゃ?だって、及川先輩と国見ちゃん、同じチームだし』
私がそう言うと、国見ちゃんは、分かってないなぁ、お前は・・・と零す。
国「紡さ、及川さんに狙われてる・・・と、思う。さっきから何回か見てたけど、及川さんのあのスキンシップ・・・普段の及川さんの追っかけと違う」
『気のせい、じゃない?』
国「そう?なら、いいけどね」
そう言い残して、国見ちゃんはタオルを持って溝口コーチの所へ言ってしまった。
“ オレ以外のヤツに抱きしめられてるのは、お仕置きが必要かな? ”
“ オレと少~しだけ、お話・・・しようか ”
さっきの及川先輩の言葉を思い出して、思わず及川先輩に視線を向けると、穏やかな笑みを浮かべて私を見ていた。
こっち、見てる。
ぎこちなく笑い、顔をコートの方へ向け深呼吸を繰り返す。
たまたま・・・そう、たまたまこっち見てただけだよ。
国見ちゃんが変なこと言うから。
そう思い込んで、審判のホイッスルを待った。