第24章 孤独と絶望感
私の答えって・・・そんなの急に言われても?!
溝「城戸さん?オレが言うのも変だけど、声掛けてあげたら?」
監「そうだな。とんでもなくイレギュラーではあるが・・・まぁ、答えてやりなさい」
『でも・・・』
頑張ってね!!
応援してる!!
負けないでね!!
絶対勝ってね!!
期待してる!!
・・・どれも、なんか違う気がする。
溝「城戸さんが、今、彼らを見て1番思う事を言ってあげるといい」
戸惑う私を見て、溝口コーチが笑いかける。
・・・私が1番思う・・・事?
コートの中の、みんなの顔を見る。
試合に出れる事をワクワクしてる日向君。
試合そのものを楽しむ田中先輩。
穏やかな笑みを浮かべる縁下先輩。
どんな時も安定したプレーを約束する澤村先輩。
不機嫌な顔をしながらも口元にニヒルな笑みを見せる月島君。
そして・・・
誰よりもコートにいる意味を強く放つ影山。
みんなそれぞれの思いを、私にくれた。
だったら。
だったら、私が帰す答えは、ひとつしかない!
溝口コーチの手を借り、椅子から立ち上がる。
体育館中の視線を浴びている事に、躊躇はない。
私は肺いっぱいに空気を吸って、答えを待つみんなの方に体を向けた。
『 みんな大好き!!! 』
たったひと言、大きく叫ぶ。
みんなは一瞬、揃って目を丸くする。
私は精一杯の笑顔で、その姿に親指を立てて見せると、コートのみんなは顔を見合わせ頷きあい、私に向けて同じ様に親指を立てて返す。
「「「 おうっ!!! 」」」
『合格!』
笑いながら返し、監督と溝口コーチに時間取ってすみません、と、頭を下げた。
溝「みんな大好き、か。俺には言えない言葉だな」
溝口コーチが顎に手を当てながら笑い、私を見る。
監「だが溝口君、効果的面のようだ。1人離れた場所にいるお嬢さんの、みんな大好きっていう気持ち。それが彼らのやる気を上げた」
『あの、そこだけ何度も繰り返さないで下さいよ・・・なんか、急に恥ずかしぃ・・・』
熱くなる顔を両手で押さえると、それを見てクスクスと笑われた。
溝「お前らも気合い入れ直せ!集中しろよ!」
溝口コーチが青城メンバーに喝を入れる。
それに青城メンバーも答え、両方のコートは一転して練習試合とは思えない空気を纏う。
最後のセット、開始!