第24章 孤独と絶望感
はぁ・・・
及川先輩の姿が遠くになると、それ待で緊張していた気持ちが緩み、大きなため息を吐いた。
ー オレ以外のヤツに抱きしめられてるのは、お仕置きが必要かな? ー
ー それとも、お仕置きを期待しちゃってる? ー
及川先輩の、あんな顔・・・初めて見た・・・
だっていつもは、ニコニコ笑ってて、おちゃらけてて、ふざけ合ったり・・・してて。
だけど、さっきのは違った。
あんな真剣な顔、見た事なんてない。
もちろん、バレーの時は真剣な顔は何回も見てるんだけど。
さっきのは、そういう真剣さじゃなかった。
射抜く様な眼差し。
一瞬、ゾクッとして・・・動けなかった。
菅「紡ちゃん?」
何も話さず動かない私を見て、菅原先輩が顔を覗く。
菅「もしかして、痛み出て来た?」
『いえ・・・大丈夫です。なんか及川先輩の勢いにビックリしちゃって』
いま出来る限りの作り笑いを浮かべ、心配はいらないと返した。
さっきのは、考えないようにしよう。
軽く頭を振って、これから始まる3セット目に意識を集中させる。
グラついた気持ちで、みんなの足を引っ張りたくはないから。
心配だから青城のベンチに残ると言う菅原先輩を説得して、烏野の方へ帰す。
敵陣に残るのは、私だけでいい。
ギュッと目を閉じ、向こう側のコートに入り始めたメンバーへ祈りを送る。
何事もなく、無事に試合が終わりますように・・・
出来ることなら、笑顔で帰れますように・・・
ただ・・・それだけを祈り続けた。
ー 3セット目を始めます! ー
審判の声に、閉じていた目を開ける。
日「城戸さーん!!絶対勝つから!」
両手を振って叫ぶ日向君。
田「お嬢!!オレの男気見せてやるぜ!!」
大きくピースして来る田中先輩。
縁「2人とも静かにしろって・・・」
困りながらも私に小さく手を振る縁下先輩。
澤「気合い入れて行くぞ!」
みんなに声を掛けながら、真っ直ぐに私を見る澤村先輩。
影「城戸!お前の仕事を忘れんな!」
なんで影山が威張ってんのよ。
ここで王様登場ですか?
“ 絶対勝つ ”
声に出さずに、口パクで告げてくる。
私はそれに、大きく頷いて返した。
月「ポチ!」
珍しく、月島君が声を張る。
月「・・・アンタの答えは?」
私の・・・答え?