第24章 孤独と絶望感
「そんなに可愛い反応見せないでよ?・・・それとも、お仕置きを期待しちゃってる?」
紡ちゃんの頬に当てたまま、親指だけで、また、撫でる。
岩「お仕置きが必要なのは・・・テメェの方だ!このグズ川!!」
岩ちゃんの怒号と共に、オレの後頭部に衝撃が走る。
「痛いよ岩ちゃん!!オレの脳ミソがどうにかなったらどうすんのさ!」
岩「元々どうにかなってんだろうが!!それともなんだ?もう1発食らいたいのか?」
怖い顔した岩ちゃんが、ボールを掲げて睨んでくる。
「ちょっ、やめて!!至近距離サーブするのやめて!!ホント、お願い!」
両手で頭を庇い、後ずさる。
岩「やめて欲しけりゃ・・・サッサと来い!このボケ川!!!!」
岩ちゃんはそう叫んでオレの後ろ襟を鷲掴むと、ズルズルとオレを引き摺りながら歩き出した。
「い、岩ちゃん、苦しい!首閉まるからっ!ギブ、ギブっ!!」
岩ちゃんの腕をバシバシ叩きながら言うと、岩ちゃんは数歩進んでピタリと足を止めた。
あ、引っ張るのやめてくれるのかな?
・・・って、思ったんだけど・・・
岩「城戸・・・及川が変に絡んで悪かったな。それから、アンタも」
城戸?
・・・紡、じゃなくて?
城戸?
・・・・・・・・・岩ちゃん?
「岩ちゃん、いま城戸・・・って、呼んだ?」
岩「だから、何だ?」
「だって岩ちゃん、今までは、」
岩「行くぞ」
岩ちゃんは一瞬、眉を潜めて・・・また、オレをズルズルと引き摺りながら歩き出した。
岩ちゃん?
なんでそんなに線引きしようとするの?
今が例え、どんな状況だっていいじゃん。
前みたいに名前、呼んであげなよ?
それとも本当に、終わりにしたの?
後悔はないの?
本当に・・・いいんだね?
岩ちゃんに聞きたい事が、次から次から幾つも浮かんでは・・・消える。
岩ちゃんが覚悟を決めたなら、オレはもう、何も聞かないよ?
その代わり・・・オレが攻める。
・・・どんな手段を使っても、だよ?
岩ちゃん?
本当に・・・いいんだね?
決して口に出しては言えない思いを、岩ちゃんの背中に投げかける。
その答えが、返ってくるか否かは・・・分からないけど。
オレはそんな事を考えながら、少しずつ離れていく紡ちゃんの姿を・・・
見つめていた・・・