第24章 孤独と絶望感
オレ達がお互いを確認するのに時間はかからなかった。
ケド。
目の前にいる姿に、オレは動揺を隠せなかった。
「紡ちゃん?なんで・・・」
『あ・・・えっと・・・お邪魔して、ます』
明らかに視線を泳がせながら、紡ちゃんが言う。
オレは足早に近付き、紡ちゃんの腕を掴んだ。
「どうして紡ちゃんがここにいる?昨日マネージャーなんかじゃないって、言ってたよね?」
『マネージャーじゃない事は、本当です』
オレが聞いたことに対して、真っ直ぐ顔を向けて紡ちゃんが答える。
マネージャーじゃない事は本当?
だったら尚更、ここにいる意味が分からない。
「紡ちゃ、」
ー すみませんけど、ケガ人なのでそれ位にして貰えませんか? ー
紡ちゃんの隣に立つ男が、会話に割り込んで来る。
「キミは?」
視線だけ動かして、相手を見た。
菅「オレは、烏野バレー部3年の菅原です」
「3年生?・・・じゃ、澤村君と同じって事か」
自チームの主将の名前を出され、知り合いなのか?という顔をみせてくる。
『大地さんと昨日買い物してる時に、偶然、その及川先輩と・・・』
菅「あぁ、だから大地の事を」
紡ちゃんとふたりで内緒話みたいにくっついて話すのを見て、軽くイラッとする。
・・・が、それでも笑顔を外す事なく、2人を見ていた。
「それでさ、さっきから気にはなってるんだけど?ケガってどういう事?」
『私の不注意で・・・』
「不注意って言ってもさ?溝口君に見て貰うって事は、それなりに・・・なんだろう?」
凄く、嫌な言い方をしてるのは分かってる。
だけど、昨日も、今日も、オレじゃない誰かと一緒にいる紡ちゃんが遠過ぎて。
つい・・・意地悪をしたくなってしまう。
『それは・・・』
溝「及川、応急処置の為にお預かりしてるお嬢さんに絡むな?そこにいる彼も含めて、チーム全員から頭下げてお願いされてんだからな?」
溝口君から釘を刺され、仕方なくため息を吐く。
「紡ちゃんゴメンゴメン。困らせるつもりはなかったんだ」
『あ、いえ。別に大丈夫、』
「でも・・・オレ以外のヤツに抱きしめられてるのは、お仕置きが必要かな?」
そっと囁くように言って、紡ちゃんの頬を撫でる。
オレの指先が触れるだけで、ピクリと反応を見せる紡ちゃんは、それだけで愛おしく感じる。