第24章 孤独と絶望感
溝「最初からしたら、どうなる事かと思ったが、少しでも状況が良くなって俺も安心したよ」
菅「ありがとうございます、お世話になりました」
菅原先輩も、私以上にお礼を言ってくれる。
溝「これからは、こんな風になるまで我慢しちゃダメだぞ?お転婆さん?」
『それもテーピングしたら、何とかなりますかね?』
溝「ならないな。残念ながら」
『えぇ・・・それはホントに残念・・・』
菅「頼むよ紡ちゃん・・・」
肩を落とす菅原先輩に溝口コーチがポンッと肩を叩き、君も苦労が絶えないな?と笑った。
そんな会話の合間に、急に体育館の中で女子特有の黄色い歓声が上がる。
菅「何だこの歓声は・・・」
「・・・分かりません」
顔を合わせ黄色い歓声に首を傾げるも、その正体はすぐに顔を表した。
監「おう、戻ったのか及川。足はどうだった?」
及「バッチリです。もう、通常練習もイケます・・・軽い捻挫でしたしね?」
・・・及川・・・先輩・・・?
しかも、足のケガ・・・って?
監「まったく・・・気を付けろよ?向こうには影山出せなんて言っといて、こっちは正セッターじゃないなんて、頭上がらんだろうが」
及「すいませ~ん」
及川先輩の登場に、この場所が一瞬にして青城カラーに染まる。
ううん、違う。
元々、烏野からしたらアウェーだったこの場所が、影山と日向君のコンビプレーに触発されていただけかも知れない。
少し前までは、多少なりとも烏野の事を話題に上げているギャラリーがいたはず。
それを、たった1人のプレイヤーが塗り替えたんだ。
及「やっほ~!飛雄ちゃん・・・久しぶりぃ、おがったねぇ?元気に王様やってる~?」
及川先輩の声かけに、影山の表情が険しくなり、烏野のベンチも空気が変わる。
監「とにかく、お前はアップ取って来い。いつもより念入りにだぞ!」
及「ほ~い・・・」
気の抜けるような返事をして、及川先輩が青城のベンチへと体を向けた。
及「岩ちゃん、ただいま~。って、あれ?溝口君、誰か故障?」
岩「遅ぇぞグズ川!どこで油売ってんだアホが!」
及「岩ちゃんヒド~イ。で、ケガしたのって、誰?」
溝「あぁ、これは・・・」
溝口コーチが説明する前に、その脇からひょいっと覗き込まれ、視線がぶつかってしまう。
お互いが姿を確認するのに、時間はかからなかった・・・
