第24章 孤独と絶望感
菅原先輩の腕に力が入る。
〖 ゴメンね・・・上書き、したい・・・ 〗
そう言った菅原先輩の真意は分からないけど・・・
でも、何かを不安に思っている事だけは、私にも分かる。
この感じ・・・
私が桜太にぃに、ギュッてする時の感じと似てるから・・・
いろんな事を考えて、不安で。
心配で。
答えが出なくて。
そんな時はいつも、誰かに縋りたくて。
・・・だから。
きっと今、菅原先輩は。
そんな揺らぐ気持ちをどうにかしたくて、でも、どうしたらいいか分からなくて。
不安、なんだろうと思う。
私はギュッと抱きしめられた体の隙間から、菅原先輩の背中に腕を伸ばした。
大丈夫。
大丈夫。
そんな思いを込めて、背中を2回叩いて、そっと抱き締め返した。
菅「紡ちゃん?」
体をピクリとさせ、菅原先輩が私の名前を呼んだ。
私はちょっと笑いを込めて、菅原先輩を見上げる。
『逆セクハラ、しちゃった』
そう言って笑って見せると、菅原先輩は一瞬驚いた顔を見せ、穏やかに笑った。
菅「逆セクハラ、か。やられたな」
『いつものお返しですよ?』
そんな言葉を交わして、お互いに笑う。
菅「敵わないなぁ、紡ちゃんには」
いつもの菅原先輩の笑顔。
それを見て、私もいつもの菅原先輩に戻ったんだと安心する。
溝「さて、テープは巻き終わったんだけど・・・さ?俺はどうしたらいいのかな?」
クスクスと笑いながら言われ、菅原先輩が、あっ!と声を上げながら私をその腕から解放する。
菅「なんかすみません・・・オレ手伝いに来たハズなのに」
軽くアタフタする菅原先輩に、溝口コーチが更に笑っていた。
溝「城戸さん、テープの感じどう?足を動かしてみて?」
溝口コーチに言われ、菅原先輩に捕まりながら床に足を付けてみる。
あ、痛くない!
何度か足を傾け、痛みが軽減されているのを確認できると、私は溝口コーチにそれを伝えた。
『さっきまでのが、ウソみたい!なんか走り回れそうな感じです!』
思わずそう言うと、菅原先輩と溝口コーチが揃って
ー 走らなくていいから! ー
と口を揃えて笑った。
溝「痛みは薄れても、テープ巻いたことで鬱血して来る可能性もあるから、ここにはまだいて貰わないと?だけどね」
『はい、それは分かってます。でも、ありがとうございました。凄く楽です』