第24章 孤独と絶望感
岩「ま、疲れていようが回復しようが、次のセット・・・渡すワケには行かねぇケドな」
「・・・ですよねぇ」
見て分かるほどに肩を落とすと、紡ちゃんまでが苦笑する。
『岩泉先輩、ありがとうございました。もう・・・・・・もう、みんなのところに戻って下さい』
「あぁ、そう、だな」
カレはそう言いながら紡ちゃんを解放し、頭にポンッと手を乗せ、切ない瞳を揺らしながら何度も頭をポンポンしていた。
『岩泉先輩・・・私の背、縮んじゃう』
岩「縮むわけねぇだろ!」
2人のやり取りに思わず笑ってしまったけど、でも、この人はこんな風に優しい顔も・・・出来るんだ・・・
それに紡ちゃんも・・・いつもと、少し違う。
岩「おい、アンタ。城戸のこと頼むわ」
「もちろん」
横から言われ、場所を代わる。
「さ、紡ちゃん?ちゃんと捕まってね?ギューッとかしても全然大丈夫だから」
『スガさんにギューッはお断りです!』
「何でだよぅ!」
『だって清水先輩が気を付けなさいって言ってましたも~ん』
清水・・・ホントそろそろ怒るよ?
『あ!岩泉先輩!!』
何となく紡ちゃんを支えていると、何かを思い出したかのように紡ちゃんがカレの名前を呼んだ。
『次のセットも、負けませんからね?』
岩「言ってろ」
カレはそれだけ言って、後ろ手に手を振りながら歩いて行った。
ふと、紡ちゃんを見る。
・・・見なければよかった。
そう後悔する程に、紡ちゃんは名残惜しい表情を浮かべていた。
本当は・・・
本当は、まだ・・・
« 思い続けているんじゃないだろうか? »
浮かび上がる言葉を無理やり押し込め、紡ちゃんをそっと抱きしめる。
『ちょっ、スガさん?』
軽く抵抗を見せる紡ちゃんの頭に自分の頭を乗せ、やり場のないため息を吐いた。
「ゴメンね・・・上書き、したい・・・」
『・・・スガさん?』
自分の口から零れた言葉に驚きながら、今、腕の中にある小さな温もりに、心を寄せていた。