第24章 孤独と絶望感
清水がいないベンチは、何かとてんやわんやで、 ドリンクの粉ひとつさえ、探すのに手間取った。
月島のスクイズの中身なんて、オレ達と違うのが入ってるから、更に分からない。
結局、紡ちゃんの所に行った清水を呼び戻し、
いろいろ世話して貰った。
日「あれ?城戸さんが立ち上がってる。けど、なんか変?」
なんか変?って、何がだよ。
日向の呟きに、オレは紡ちゃんの方を見て凍り付いた。
何でだよ・・・
なんであんな事に?
アイツは確か、紡ちゃんの・・・
無意識に手を握りしめていた。
「大地・・・あれ・・・」
戸惑いながら、大地に声をかける。
澤「あれは・・・ちょっと、どういう状況なんだ?」
「分かんないよ。オレ、ちょっと行ってくる!」
澤「あ、おい!スガ?!」
大地が止めるのも聞こえないふりをして、オレは紡ちゃんのいる所へ走り出した。
すぐに青城のコーチがテーピングを貼っているのが見える。
だから支えてるのか?
でも。
でも、相手がマズイだろ!
もしかしたら、これがきっかけで元サヤに収まるかも知れない。
だけど!
だけどオレは・・・そんなの、イヤだ・・・
走り抜けながら青城の監督に挨拶をして、紡ちゃんの所へ辿り着いた。
ー すみません!うちの城戸が大変お世話になってます! ー
これ以上ないくらいに頭を下げる。
思いのほか声が大きかったのか、その場にいた3人は呆気に取られていた。
『菅原先輩・・・』
「ゴメンね紡ちゃん。向こうでバタバタしてて。えっと、溝口コーチ・・・でしたよね?」
さっき向こうで聞いた名前をさり気なく確認して、笑顔を向けながら紡ちゃんを見る。
「本当にすみません!俺も手伝わせてください。よろしくお願いします!」
溝「あ、あぁ・・・」
駆け付けた勢いのまま言って、また頭を下げた。
「オレ、抱えるの代わります。この後のセットも、試合、出るんですよね?」
頭を上げて、すぐに紡ちゃんの近くに寄りオレが言うと、いまだ紡ちゃんの体を支えるカレは歯痒い返事をした。
岩「まぁ・・・出る、ケド」
「だったら尚更です。オレがここは代わります。だから少しでも休んで下さい・・・あ、でもあんまり回復されると・・・烏野が不利になるのも、ちょっと・・・」
休めと言いながら、後のことが浮かび言い篭る。