第24章 孤独と絶望感
~岩泉side~
コーチが紡の足の様子を1回見よう。
そう言ってアチコチ触り、なぜかそれを見て苛立つ自分がいて。
いつものように手際良くアンカーを巻き始めたコーチを眺めながら、手伝う・・・と言ったのも他の誰でもない、俺だ。
紡の手を引き、ゆっくりと立ち上がらせたコーチは、まだ痛む場所やらを聞いて、紡もここが・・・とかそれに答えていた。
だが、しかし。
なぜ、こうなる?!
溝「岩泉、俺と変わって城戸さん支えとけ」
「はっ??」
溝「俺が支えてたらテープ巻けないだろ。さ、早く代われ」
・・・はぁ?!
確かにそうかも知れないけどよ。
深く・・・考えんのはやめよう。
ただ、テーピングを巻く間だけ支えるだけだ。
ただ・・・それだけの事だ。
そう思い、用意していたハサミとテープをコーチに渡し場所を入れ替わった。
「ワリィな、ちょっと触るぞ」
『あ、はい・・・すみません』
ひと声かけて、コーチがしていたように手を差し出し、ぎこちないながらも紡の指先に触れる。
・・・なんだこの緊張感は!
気を抜いたら震えだしそうな自分の手に集中し、ゆっくりと紡の手を掴んだ。
「俺が支えんじゃ嫌だろうが、我慢してくれ」
緊張がバレねぇように小さく呟くと、紡はそんな事は・・・と同じ様に小さく返した。
・・・前と変わらねぇ、小さな手。
とても愛おしく思える、小さな手。
正直・・・もう2度とこの手に触れる事は許されないと思ってた。
きっと、これが最後なんだろうか。
そんな思いを知ってか知らずか、紡がそっと手を握り返す。
「城戸?」
突然の事にピクリと指を動かし紡を見た。
『グラついたら・・・危ないし・・・』
手元を見たまま、紡が呟いた。
その言葉に軽く笑い、そうだな、と返し、更に包み込むように掴んでいた。
溝「岩泉、もうちょい支えられるか?城戸さんに片足立ちして貰うから、出来ればこう、抱える感じで。城戸さんも遠慮なく岩泉に寄りかかっていいから」
・・・?!
俺が、抱える感じで?!
なんだよそれ!
聞いてねぇよ!!!
口を開けたまま、硬直する。
それに紡には俺に寄りかかれだと?!
チラリと紡に視線を移せば、どこかうわの空の状態で何か考え込んでいる。
かとおもえば。
急に頭をブンブン振り、コーチに向けて声を上げた。