第24章 孤独と絶望感
『岩泉先輩?どうしたんですか?』
何が何だか分からないって顔をして、紡が首を傾げながら言う。
「お前のせいだろうがっ」
『あいたっ!デコピン?!』
笑いの元凶に鉄槌を食らわせ、気を落ち着かせる。
『いったぁ・・・今ので頭蓋骨割れた・・・』
「割れるかっ!!」
大袈裟に額を押さえる紡にツッコミを入れながら、2人で笑う。
なんだ、普通に話せるじゃないか。
普通に、笑えるじゃないか・・・
こんな風に話が出来るだけでも、良かったと思わないとな・・・
「で、足はよ?」
『えっと、痛いのは結構治まってる・・・かな?あとは、溝口コーチが腫れが酷いし熱持ってるからとか言ってたんで』
「ちょっと見せてみろ」
俺が言うと、紡はそっとバケツから足を出した。
元がどんだけ腫れてんだか分かんねぇけど、まだ腫れてるな。
熱は・・・と、考えながら小さな足を手のひらで包んでみる。
「熱は・・・なさそうだな」
溝「何してんだ岩泉?王子様ゴッコか?」
「な、誰が!!」
横から声をかけられ、肩を跳ねさせた。
「氷はほとんど溶けてっし、聞いたら熱持ってたっつうから!」
別に慌てる必要はねぇけど、何となく早口で弁明する。
溝「城戸さん、そろそろ1回見てみようか」
『はい・・・お願いします』
俺と場所を入れ替わり、コーチが紡の足を触りながら見始めた。
・・・なんだ、この変な感じ。
なんでこんなイラッとするんだ。
ただケガの状態を見てるだけじゃねぇか。
何の遠慮もなく紡の足を触るコーチに軽く苛立ちながら、俺はその光景を眺めていた。