第24章 孤独と絶望感
ハハッと笑いながら、縁下先輩もベンチへとかけて言った。
澤村先輩も縁下先輩も、とんでもない置き土産をして行くんだから・・・
私は何となく熱くなった頬を押さえながら、記録の続きを書き込んでいた。
・・・けど。
記録を見返しながら、思う事はある。
青城のメンバー、確かにみんな凄いし、サーブミスもなく、ブロック率、スパイク成功率も高い。
だけど。
そこには、及川先輩がいない・・・
1セット目は、日向君があんなだったから仕方ないとはいえ、烏野は2セット目を押さえる事が出来たものの、ギリギリ。
ここで及川先輩がコートに入る事になったりしたら・・・
3セット目は危ないかも知れない。
烏野メンバーをどう入れ替えても、いい策が出来るとは言い切れない。
菅原先輩が入って日向君を下げ、ツーセッターにして影山が攻撃に回ったとしても・・・
守備力は上がっても攻撃力が下がる?
日向君のあの超速攻は、パートナーが影山だからこそ出来る攻撃だし。
かと言って、日向君を残して誰かが下がるとしても、守備力が落ちてしまいそう。
いくら澤村先輩がレシーブ上手くて、縁下先輩もそつなくプレー出来るとしても、烏野はまだまだ守備力としては物足りないのかも知れない。
そう考えると、指導者・・・って、大事なんだなぁと思わず目を閉じて考え込んだ。
清「随分と難しい顔してるけど、大丈夫?」
掛けられた声に、パッと目を開ける。
『清水先輩・・・?どうしたんですか、こんな敵陣まで』
清「喉、乾いてるんじゃないかな?って。烏野のお父さんとお母さんが、俺達が女の子の鞄を開けるわけには・・・って言うから、私が開けちゃったけど、ごめんね?」
フフッと笑いながら、私にマグボトルとタオルを手渡してくれる。
烏野の、お父さんとお母さん?
『大地さんとスガさんが・・・嬉しいです!声張り上げてたから喉カラカラで。でも、取りには行けないし、どうしようかと思ってたのでホントにありがとうございます!』
離れていても気にかけてくれるなんて、素直に嬉しい。
『でも、清水先輩ここに来る時・・・入りにくくなかったですか?その、一応敵チームのベンチ、だし』
受け取ったマグボトルを開けながら、冷たいミルクティーを飲む。
清「別に大丈夫だったわよ?・・・すみません、お邪魔しますって言って・・・」