第24章 孤独と絶望感
縁「ありがとう。きっと城戸さんのおまじないが聞いてるんだよ。それより、足はどう?」
『大丈夫です!溝口コーチが一生懸命見て下さってるし、このセット押さえることが出来たので嬉しくて、今なら走り回れそうかも』
ニコニコと返すと、縁下先輩が、走るのはやめて・・・とため息をついた。
影「日向!テメェいつまで城戸にくっ付いてんだ!いい加減サッサと離れてベンチ戻れ!」
力任せに日向君を引き剥がす。
日「えぇ~!もうちょいいいじゃん!城戸さんって、フワフワして柔らかくて、ギューってすると気持ちいいんだもん!」
影「はぁ?!ふざけんな!」
さっき・・・1年生がまとまってくれたら・・・って思ったばかりなのに、目の前では早くもこんな事が起きている。
全く・・・どうしようもない。
『日向君、全部が終わったらいくらでもギューって来てもいいから、今はベンチに戻って休んで来て。ね?』
日「ホント?!じゃあそうする!絶対だよ!約束だよ!」
そう言って日向君は、そんなに走らなくていいのにと思う速さでベンチに戻って行った。
『さてと、影山?』
名前を呼んで、ハイ!どうぞ?と言うように両手を開く。
影「なんだよ」
『嫌じゃなかったら、影山もどうぞ?』
影「・・・は?!い、いや別に、俺は・・・」
ドギマギしながら言う影山を笑いながら、じゃ、いいか!と返す。
縁「ふぅん、せっかくのチャンスなのに影山は断るんだ?じゃ、俺が、」
縁下先輩が半ば影山をからかうように私に両手を広げて近づくと、それより先に影山が一瞬だけギュッと肩を抱いて走り去って行った。
『素直じゃないんだから、影山は』
縁「でもさ、何だかんだ城戸さんは、1年の扱い上手いよね。なんかこう・・・モンスター使いみたいな?」
『モンスター使いって・・・やだなぁ、そのあだ名。こう見えても私、以外とメンタル弱いんですよ?』
ちょっと拗ねた顔を見せながらも、笑って返すと、縁下先輩は目だけで穏やかに笑っていた。
澤「そのチラチラ見えるメンタルの弱さが、可愛さを増強させてるだけどね?」
ポンッと頭に手を乗せながら、澤村先輩が通り過ぎて行く。
『か、可愛さ・・・大地さん、冗談ばっかり』
縁「いや、俺も可愛いと思ってるよ?小さくて可愛いモンスター使いさん!」
『ちょっ、縁下先輩!!』