第24章 孤独と絶望感
私の言葉に、まぁ・・・そうだな、と溝口コーチが相槌を打つ。
『なのに、顧問についた武田先生が一生懸命に青城との練習試合を取り付けてくれて、今日、みんなはここにいるんです。だから、少しでも多く経験を積んで欲しい・・・って、3年生のマネージャーさんが言ってて、私もそう思ったんです』
ー 私達には来年って言うのが1個ずつ減って行く。そして代わりに思い出が1つずつ増えていくの ー
そう言っていた清水先輩の顔が浮かぶ。
ー 清水がマネージャーになってから、どんなに負け試合が続いても、文句も言わず、黙々とみんなの為に仕事をしてきた。だから最後の年くらい清水にもいい思いをさせてあげたい ー
そう、澤村先輩からも聞いた。
お互いがお互いを思い合っている今、飛躍するチャンスはいくらでもあると思う。
・・・あとは、1年生がまとまってくれたら、だけど。
ー ピーッ! ー
溝「うわっ!セット取られた!」
『やった!!』
溝「えー・・・・・・」
『・・・・・・あはは・・・』
お互い顔を合わせて笑ってしまった。
溝「さ、メンバーが戻ってくる。どんな喝を入れようか、俺は考えないとな」
苦笑いを見せながら、溝口コーチが監督の側に立つ。
私は私で、コートから出てくる烏野メンバーに笑顔を向けた。
日「城戸さん!このセット勝った!勝ったよ!オレ頑張った!やったぁ!」
誰より先に走ってきながら、日向君が私に抱き着いて喜んでいた。
『うん、ちゃんと見てたよ!日向君、頑張ってた!』
背中をポンポンとしてながら言うと、日向君は嬉しそうに、次も頑張るから!と更に抱き着いて来た。
月「頑張ったのは、キミだけじゃないデショ」
そう言いながら月島君が通り過ぎて行く。
『月島君のかっこいい~ブロックも、ちゃんと見てたからね!』
後ろ姿に声をかけると、月島君が足を止めて振り返る。
月「ポチ、うるさい」
たったそれだけ言って、スタスタと歩き出す。
もう・・・せっかく褒めたのに。
でも今、うるさいって言いながらも、月島君、少し笑ってた・・・
縁「月島は日向みたいに大袈裟に喜ばないからね。あれでもきっと、城戸さんの言葉を嬉しいと思ってるよ」
穏やかに笑いながら、縁下先輩が私の頭に手を乗せた。
『縁下先輩も、安定したプレーでカッコよかったですよ?』