第24章 孤独と絶望感
程なくして、中断されていた第2セットの続きが始まった。
1点取っては1点取られのシーソーゲームで、なかなか烏野にいい流れが来ない。
・・・きっと私のせいかも。
記録を取る手が自然に止まる。
さっき、言いながらの時に青城から出たタイム。
その時に、みんなの集中力が途切れなければ・・・
ケガしてる事が、バレなければ・・・
溝「今の取れただろ!国見!ボケッー!!」
!!
すぐ近くで叫ぶ溝口コーチの声に、ハッと我に返る。
ダメダメ!
今は私も試合に集中しないと!
気を取り直し、記録を付け続ける。
この記録が、私の最後の仕事になるかも知れないんだから。
だから。
だから、せめて、しっかり記録を残さないと・・・
・・・最後の仕事?
・・・・・・・・・。
私は明日以降、どうすればいいんだろう。
何事もなく、普段通りに朝練に顔だして・・・そんな事は出来ない。
約束は今日までだから、明日からはキッパリ関わらない?
どちらかと言えば、後者の方がムリだよ。
山「ツッキー、ナイス!!」
田「ナーイス月島!」
月島君のスパイクが決まって烏野に点が入る。
せっかく点が入っても、いつも不機嫌そうな顔してるんだよなぁ。
もっと喜べばいいのに。
そんな事を思いながら記録を書き込む。
ふと視線を感じて顔を上げると日向君がこっちを見ていて、目が合うとブンブンと音が鳴りそうな程に手を振ってきた。
私も小さく手を振り返すと、それに気付いた影山が、授業参観かっ!!と日向君に突っ込んでいた。
日「城戸さん!オレ頑張るからいっぱい応援してね!」
周りの目を気にすることもなく日向君が大声で伝えてくる。
『分かった!応援するね!』
青城のベンチにお邪魔してるのに、応援って・・・どうすればいいんだろ?
そんな事を考えながら日向君にもう1度手を振る。
日「あとさぁ!ダメダメな所あったら教えてね!!」
ダメダメな所?
結構たくさんあるよ・・・
『了解しました!・・・じゃあ、まず始めに』
そこまで言って、胸いっぱいに空気を吸い込む。
『まっすぐ前見て試合に集中しなさい!!!』
思い切り大きく叫ぶ。
日向君はびっくりしたのか目を丸くして私を凝視する。
『返事は?!?!』
日「はっ、ハイぃぃぃ!!」
『よし!』
そう返して笑う。