第23章 それぞれの誤算
監「それで、ケガの程度は?」
武「はい、素人の僕が見てもかなり腫れているのが分かりました。キャプテンの澤村君に聞いたところ、自分達が何かをするにはケガの程度が重いと言ってまして・・・お恥ずかしい話ですが、うちのチームには今、適切な処置を出来る者がおりませんので、それでこちらにご相談を、と・・・」
素人が見ても腫れてる?
部員達が手が出せない?
少なくともアイツはさっき、笑ってたじゃないか!
だったら、いつそんなケガを?
いや、待て。
もし、最初からのケガだとしたら・・・
アイツの性格からして、心配かけたくないからと黙ってる可能性もある。
監「とにかく、ケガ人が出ている事は事実だ。溝口君、行ってあげなさい。必要な物があればウチのを使ってもいい」
溝「分かりました。烏野の、えっと」
武「武田です」
溝「では武田先生、行きましょう」
武「すみません、宜しくお願いします」
烏野の顧問と溝口コーチが慌ただしくこの場を離れていく。
俺はただそれを見送るしか出来なかった・・・