第23章 それぞれの誤算
~岩泉side~
流れを変えるために青城がタイムを取った。
中学の時とはまるで違う影山に、俺も、同中のヤツらも混乱してたから、丁度いいとはいえばそうだ。
それにあの、小柄なヤツも。
あの身長でMBってのは最初驚かされたが・・・
それ以上にプレーの形には更に驚かされた。
俺達は、気合を入れ直さねぇとマズイ結果になるかも知れない。
及川不在の今、そんな情ねぇ終わり方はさせんワケには行かねぇ。
影「逃がすか、このっ!」
『ひゃぁぁっ!!』
ー なんだ、アレ・・・? ー
ー いま悲鳴だったよな? ー
ざわつくメンバー達につられて、烏野側を見る。
影山?
何してんだアイツ・・・
それに紡を抱えてる?
・・・なんだ?
『な、何でもないです、ホントに!影山も降ろして!』
影「お前!いい加減に観念しろよ!っと、暴れんじゃねぇ!落とすぞ!」
監督「なんだか向こうは騒がしいな・・・まぁとにかくだ、影山のトスを信じて飛んでいる5番には要注意だ。分かったな?」
「「ッス!!!」」
監「それから金田一、惑わされてもキッチリ処理しろよ?俺が言いたいのはそれだ」
金「はい!」
安定してるレシーブをする主将、そつなくこなすあの3番、パワー方のスパイカーの2番・・・
影山は別として、こっち側が仕掛けるにはあのデカイメガネのヤツと・・・それから小柄のヤツ・・・か。
金「岩泉さん・・・なんか向こうの顧問がこっちに来ますけど・・・」
「あ?なんだ?」
金田一に言われて振り返ると、烏野の顧問が難しい顔をしながら俺達の所まで歩いて来た。
武「あの、お取り込み中に大変申し訳ありませんが・・・うちのチームでケガ人が出てしまいまして、その、お力をお借りできないかとご相談に来たのですが・・・」
ケガ人?
監「それは大変ですな。試合に出ている選手なら、すぐに状態を見て応急処置をしないと・・・」
武「あ、いえ。ケガをしているのは選手ではなくてですね、あの、チームのお手伝いをしてくれている子なんですが・・・」
チームのお手伝いって・・・まさか紡の事か?!
烏野の顧問とうちの監督の会話を聞いて、思わず烏野のベンチに目を向けた。
そこには紡を抱えたままの影山が座り、主将が紡の足に手をやっているのが見える。
いったい向こうで何が起きてるんだ・・・