第23章 それぞれの誤算
~菅原side~
田「日向!このまま気合い入れてドンドンやってくれよ?」
日「はい!田中先輩!」
田「よーし!何回でも田中先輩と呼ぶがいい!」
まーたやってるよ田中は。
全く、しょうがない。
だけど日向の調子が戻って、烏野にもいい流れが出来てる。
この流れを離さなければ、チャンスはいくらでも・・・
『ひゃぁぁぁぁ!!』
縁「うわっ、びっくりした!・・・何だ?」
今のは紡ちゃんの声だったよな。
って?!
影山が抱えてる?
あれ?
そう言えば、さっきも影山がああやって紡ちゃんを抱えてたけど・・・
縁「どうしたんですかね、あれ。なんか大地さんと影山が話しながら、城戸さんが暴れてるけど」
「ここからじゃよく分かんないなぁ、あ、こっちに来た」
コートの中から、救急セットを担いだ大地と、紡ちゃんを抱えた影山が忙しなく戻って来る。
「大地、どうかした?」
澤「スガ!ちょっとそこ開けてくれ!」
「あ、あぁ、分かった!田中、山口、そこどいて!」
大地に言われた通り椅子を開けると、影山がそこに紡ちゃんを抱えた状態で腰を降ろした。
『や、あの、ホントに大丈夫ですから!』
影「お前この期に及んでまだ言い訳する気かっ」
澤「紡、ちょっと脱がすよ」
脱がす?!
『え、嫌です!・・・大地さんのエッチ!』
「えっ!!だだ、大地?!」
澤「ばかっ、違う!シューズだよ、シューズ!!」
ジタバタとする紡ちゃんのシューズと靴下を大地が脱がすと、そこにはとんでもない状態に腫れた紡ちゃんの足首が見えた。
澤「・・・かなり腫れてるな。痛いか?」
『い、痛くない!痛くない大丈夫!』
武「澤村君、どうかしましたか?」
騒ぎを見て、武田先生までが覗きに来る。
「先生・・・それが・・・」
予想に反してその場にいる全員の顔色が悪い事に気がついた武田先生が、大地の手元を見て深刻な顔を見せた。
武「これは痛そうですね・・・素人の僕でも腫れてるのが分かる・・・」
「先生、そんな呑気な」
武「澤村君、とにかくまず先に冷やしましょう。清水さん、何か冷やす物を用意して下さい。それから澤村君、冷やした後はどうにかなりそうですか?」
先生が聞くと、大地は首を振った。
澤「これだけ腫れてると、俺達がやたらに手を出すのは・・・」