第7章 嵐の足音
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雑踏の中を構わず駆け抜ける。
そんなオレに、雪達が容赦なく降り続ける。
どれだけ走り続けたのだろうか・・・
息が上がってくる。
やがて目的の場所まで来ると、オレは息を整える事も忘れ、インターフォンを押した。
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「はい」
岩ちゃんだ。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・」
オレだけど・・・そう名乗りたいのに、まだ整いきれない呼吸が邪魔をする。
「・・・・・・・・・変態さんはお断りだ」
!!!
「ち、ちがっ!ゴホッ・・・オレだよ!及川だよ!!!」
むせ返りながら叫ぶと、ガチャりと玄関ドアが開く。
雪に降られ、びしょ濡れの姿のオレを見て、岩ちゃんは« 何だよその格好は、びしょ濡れで訪ねてくるとか何の嫌がらせだよ»と言いながら中へ招いてくれる。
タオルもってくるから、そのまま待ってろと言って踵を返す岩ちゃんに、オレは言った。
「今日・・・紡ちゃんに会ったよ・・・」
その言葉に岩ちゃんはピタリと立ち止まり、振り返りもせずに
「そうか・・・」
たった一言そう呟いて、家の奥へと消えた。
何だよ・・・何なんだよ岩ちゃん。
びしょ濡れの髪から垂れてくるしずくを払いもしないで、オレは・・・ただ・・・拳を握った・・・