第23章 それぞれの誤算
私を使って烏野に揺さぶりをかけてるのかな?
その辺は、さっきの金田一君とは違って頭脳的・・・
だったら、私もお礼をするのが礼儀かな・・・
『・・・分かりました。岩泉先輩の事はもう見ません。記録には、顔が怖い人、怒ると多分怖い人って書いときます。怒られた事ないから多分、としか書けませんけど』
岩「はぃ?」
『こっから先のゲームは、国見ちゃんのスパイクがカッコイイ!とか、金田一君の腹筋素敵!触りたい!とかだけ考えてゲーム記録書きます。それなら問題ありませんよね?』
矢「紡さん、俺は?!」
『矢巾さん、ですか?そうですねぇ、ちょっと及川先輩みたいでナンパっぽくて、セッターの仕事は今ひとつ及川先輩の足元に及ばない・・・で、いいですか?』
矢「・・・今ひとつ・・・・・・」
岩「飲まれるなっての!国見もそのVサインやめろ!金田一!お前は自分の腹押さえて固まるな!赤くなるな!」
矢「・・・及ばない・・・」
岩「矢巾!お前も!」
一転して怒りながらチームメンバーに声をかけてまとめる岩泉先輩の背中に、私はベーっと舌を見せた。
さてと、烏野メンバーは大丈夫かな?
そう思ってコートに目をやると、未だに心配そうにこっちを見ている。
私は大丈夫ですよ!という気持ちを込めて、小さくVサインをして見せると、それを合図に澤村先輩がみんなに声をかけ始めた。
山「城戸さん、大丈夫?」
『ん?どうして?』
一部始終を見ていた山口君が、そっと声をかけてきた。
山「だって、対戦相手の上級生に、あんな風に名指しで何か言われたら怖くなかったのかな?って」
『大丈夫、同じ中学の先輩だし、全く知らない人じゃないからね。向こうも私の扱いを分かってるし、その分こっちも見知ってるから』
菅「今のは多分、烏野に対して牽制かけて来たんだよ」
山「牽制?ですか?」
山口君の言葉に、菅原先輩は頷いた。
菅「日向が通常運転に戻って、影山が日向を使って烏野の攻撃が決まって来てる。攻撃だけじゃなくて、大地や縁下、それに月島だってペースを掴んで乗ってきてる。田中はいつもと変わらずハイペースで突っ走ってるけどね」
山「でも、それと今のはどういう繋がりが?」
菅「それはさ、キーになってる紡ちゃんを使って烏野の動きをぎこちなくさせようとしたんじゃないかな。と、オレは思うんだけど」