第23章 それぞれの誤算
青城と烏野がコートに揃い、2セット目を開始するホイッスルが鳴り響く。
烏野からのサーブで、サーバーは縁下先輩か・・・
漏らす事なく記録を取るために、試合に集中する。
縁下先輩が打ったサーブは青城にカットされ、そのまま攻撃される。
国見ちゃん・・・中学の時は無気力男子って呼ばれてたけど、バレーの時はキチッと決めてくるんだよなぁ。
そのボールは月島君から影山に繋がり、日向君へ!!
・・・トスが合わない?!
スパイクを打ち損ねた日向君は唖然としていた。
金「今みたいなのちゃんと打てなきゃ、王様が怒り出すよ」
金田一君がネット越しに日向君に悪魔の囁きを告げる。
でも・・・揺さぶり方が微妙だよ。
影「日向!」
金「ほら来た!」
金田一君の言葉で日向君が軽く顔ざめている所に、影山が歩み寄った。
影「悪い、今のトス少し高かった」
え?
金「影山が・・・?」
国「・・・謝った・・・?」
ええっ?!
今まで何度も練習でトスが合わない事はあったけど・・・
影山から日向君に謝るのなんて・・・初めて見た。
日「・・・許してやらなくもない」
また日向君もそんな言い方したら影山が・・・
息を漏らしながら、今のトスミスの事も記録していく。
日「いたたたたたっ!!禿げる!!」
・・・・・・・・・。
『影山!ソレやめなさいってば!!!』
全くもう・・・
私もよく頭掴まれるけど、ホントに痛いんだから。
今のでサーブが青城に移る。
縁下先輩がカットしてそのまま影山に繋いで、クイック!!
決まった!
目の前の出来事に金田一君も驚いてる。
日向君のスパイクが決まって、烏野メンバーの雰囲気が変わる。
このままいい流れを維持出来たら・・・このセット、もしかしたら・・・
今は澤村先輩が日向君を呼んで、みんなで円陣組んだりしてるけど、そういう少しの事でまとまりが出来ていくのを見ているのも楽しい。
・・・月島君は絶妙に嫌そうな顔してるのは、気のせいじゃないかもなんだけど。
そして今ので顔色が変わったのは、烏野だけじゃない。
矢巾さんが金田一君に何か話してるし、影山の異名が昔とは違うって事も、きっと驚いてるに違いないだろうし。
ー 今のオレには、そんなの関係ない ー
そう言った日向君に戸惑いを見せた影山と同じように・・・