第23章 それぞれの誤算
さっきとは少し違う感じに、日向君が首を傾げた。
『さっきはガチガチだったから。でも、これで頑張れそう?』
私が聞くと日向君はウンウンと頷いた。
じゃ、次は誰です?と声をかけようとしてメンバーを見ると、月島君以外のメンバーは固まっていた。
澤「おまじないって、今の、かな?」
『そうですけど。大地さんがみんなにもって、言ったんですよ?』
影「おい日向!!テメェあんなんいつやってた?!いつだ?!どこでだ?!あぁ?!」
月「あんな子供騙しみたいな事で頑張れるとか、日向ホントに馬鹿デショ・・・」
田「ぅおおおお!!お嬢!オレも!オレにも頼むぅぅぅぅ!!!」
なんか、いろいろ大変な事になってるよ・・・
影山の叫びと田中先輩のとで、背後の青城ベンチの視線が痛い。
・・・気まずい事この上ない・・・
『他はいいのなら、戻りますよ?』
そう言った時、私の前に月島君が立った。
『月島君?1番おまじないとか必要なさそうなんだけど?』
月「別にそんなのいらないけど、日向だけいい思いさせるのは・・・癪だからね」
癪って・・・。
『分かった。じゃあおまじないはなしのや、』
言い終わる前に月島君の方からキュッと抱きしめてくる。
『びっ・・・くりした・・・月島君イキナリ過ぎ』
月「じゃ、次からは細かく言う?今から触りまーす、ハグしまーす・・・でイイ?」
『そ、それはそれで、何か、ちょっとイヤかも・・・』
ひと言ずつ発表しながら近付く月島君を想像して、何となくウンザリした。
月「そう?」
田「おぉーい!!月島!!いつまでお嬢にくっついてんだぁコラァ!」
月「チッ・・・騒がしいのが来た・・・」
ひと言だけ小さく言って、月島君がスッと私から離れて行った。
いま、舌打ちしてったよね・・・
そんな不機嫌にならなくてもいいのに。
田「お嬢・・・俺はこの日をどれだけ待っていたか・・・潔子さん!待ってて下さい!お嬢の次にすぐハグを!!」
清「しません」
田「いや、ちょっとだけでも!」
清「しつこい」
田「潔子さん!!」
清「うるさい」
・・・・・・・・・。
清水先輩の徹底してる距離感、素晴らしいです。
田「くぅぅぅ・・・それじゃあ田中龍之介、潔子さんの分まで、いざ!」
え、あ、ちょっと?!
な、何か怖い!!