第23章 それぞれの誤算
・・・危なかった。
まさか影山にバレそうになるとか、そんなに違和感ある歩き方とかしてたのかな?
とにかくバレなくて良かった。
軽く冷や汗をかきながら、澤村先輩と菅原先輩の方へと向かった。
『大地さん、遅くなってすみません、ドリンクです。菅原先輩も、はい、どうぞ』
澤「サンキュ。全く影山も月島も、寄ると触るとケンカだな・・・」
さっきまで私がいた所では、2人の間に田中先輩が入って仲裁してる場面が見える。
『そうですね・・・でも、似た者同士だからこそって感じかも知れません』
振り返って様子を見ながら、私は感じるままを伝えてみた。
菅「それって?」
『この前、私と月島君が揉めちゃった時、様子を見に来た武田先生に言われたんです。あなた達は磁石の様ですねって』
菅「磁石・・・って、SとかNとかの?」
よく分かんないなぁ・・・と呟きながら、菅原先輩は私に続きを促す。
『確か先生は、あなた達2人は磁石と同じ。それぞれ似ている所も反発しあってしまう所も持ち合わせているのに、お互い背中を向けているから気が付かない。後ろを振り返れば、ちゃんとお互いの存在が分かるのに、それが出来ない。それは磁石という無機物だからで、僕達は感情を持ち合わせた人間です。だから自分の意思で向き合い、互いの存在を見つめ直すことも出来る。・・・って』
どうですか?と聞く代わりに、2人を見つめながら微笑んでみる。
澤「武田先生・・・深いな」
菅「国語の先生なのに、理科の先生みたい」
『あ、それ私も言いました』
あの時の事を思い出して、肩を竦めて笑った。
澤「と、すると・・・あの2人は時間が解決してくれるって事かな」
澤村先輩の言葉に、私は静かに頷いた。
菅「残るは日向の問題かぁ・・・何とかなんないかなアレ。緊張するのは分かるけどさ」
『日向君・・・おまじない効かなかったのかな・・・』
菅「おまじない?」
田「おいコラ日向!!」
菅原先輩が話出すのと同時に、田中先輩が日向君を呼ぶ声が聞こえ私達は揃って田中先輩を見た。
田「お前、他の奴みたいに上手にやんなきゃとか思ってんのか?!・・・いっちょまえに」
田中先輩?
日「ちゃんとやらないと、交代・・・させられるから・・・オレ、最後まで試合に出たいから・・・」
日向君・・・