第23章 それぞれの誤算
~影山side~
ったく、アホ日向め。
やっと落ち着いてきたかと思えば1セット取られただろ。
とりあえず、今はさっきのサーブは許すけど次また同じ事やったら・・・
・・・ぶっ飛ばす!
そんな事を悶々と考えていると城戸が近づいてきて、ドリンク渡しながら頭は大丈夫か?なんて聞いてきた。
・・・どういう意味だ。
いま頭ん中が大丈夫か確認するなら、むしろ日向の方だろうが!
スクイズの蓋を開け口を付けると、縁下さんに何か言われたのか、ハッとした顔を見せて城戸がまた近づいて来る。
『あ~、っと・・・影山?なんか変な言い方しちゃってゴメンネ?』
「あ?」
『私が聞いたのは後頭部サーブの方で、中身の方は今更だから心配いらないよね?』
城戸はニヤリとしながら、冷却ジェルをポンッと叩く。
「・・・余計なお世話だ!!」
俺はそう言いながら、城戸の手から冷却ジェルを引ったくる。
『もう!急に奪い取ったらビックリするでしょ!』
田「おっと、悪リィ」
『・・・いえ・・・』
・・・ん?
今なんか、変じゃなかったか?
田中さんが後ろ向きに城戸とぶつかった時、コイツ一瞬だけ顔を強ばらせたような・・・
それに、今も。
無意識なのか、そうじゃないのか、右足の踵を浮かせてる。
「おい城戸・・・お前、右足どうした」
俺の頭に寄せた冷却ジェルを押さえる城戸の腕を引き寄せ、単刀直入に聞く。
『右足?別になにも?』
「じゃ何で、踵を浮かせてる」
追求すると城戸は少し困った顔をチラつかせながら横を向いた。
「おい」
『女子の生足見てるとか・・・影山のエッチ・・・』
・・・はぁ?!
「お、オマエ何言ってんだ!!誰がオマエの足なんか見るかボゲェ!!!」
『なんかって何よ!失礼ね!!』
田「オイそこケンカすんな!」
月「王様がご乱心デース」
「月島テメェ!」
田「2人ともヤメロってーの!!」
田中さんに間に入られてる隙に、城戸は澤村さんにドリンクを渡しに逃げられ話は途切れた。
アイツ、絶対おかしい。
そういや、山口がレシーブミスった時に無理やりフォロー入って青城に突っ込んでたけど・・・
まさかその時にか?!
他の奴らのケガに敏感な城戸が放置する訳ないとも思うけど・・・
クソ・・・後で取っ捕まえて追求してやる・・・