第23章 それぞれの誤算
菅「煽るなっつーの!!」
ベンチから菅原先輩が言っても2人は笑いを止めることはなく、笑い続ける。
澤「やめろお前ら!!」
澤村先輩のひと声で、ようやく笑う2人は静かになり、これでこの場は収まった、と誰もが思った・・・のに。
日「か、影山?は、話せばわかるっ!ちょっと?!」
セット間に影山の頭を冷やした方がいいかな?と救急セットに手を伸ばしかけて、日向君の声に手を止める。
視線を移し日向君の方を見ると、影山が日向君の前に立ち塞がっているところだった。
影「オマエさぁ」
日「は、はいっ!!」
影「いったい何にそんなにビビってキンチョーしてんの?・・・相手がデカイから?初めての練習試合だから?」
なんかちょっとヤバイ雰囲気?
『影山ちょっと待っ、?!』
影山の迫力の凄さに怯える日向君を見て、止めに入ろうと立ち上がると、何かに足を取られガタンっという音をさせながら転んだ。
『・・・痛ったたた』
清「城戸さんっ、大丈夫?!」
隣にいた清水先輩がビックリして手を差し伸べてくれる。
『すみません・・・止めに入ろうとしたら・・・』
言いながら、何に足を取られたんだと目線を動かした。
・・・これか・・・
目線の先には、転んだ勢いで脱げた片方のシューズが転がっていた。
そうか、さっき椅子に座る時に、紐を解いて緩めてたから・・・
清水先輩の手を借りて立ち上がると、足首に違和感を感じて、思わず顔をしかめた。
マズイ・・・もしかして変な転び方した?
清「どこか痛い?」
心配そうに覗く清水先輩に、私は大丈夫ですと笑いながら返した。
後で時間に余裕が出来たら、こっそり冷やしとこう。
今はとても、そんな事してる場合じゃないし。
ズキズキと痛み出す足に言い聞かせながら、私は影山と日向君の様子を確認するように顔を向けた。
影「俺の後頭部にサーブ打ち込む以上に怖い事って・・・ナニ?」
日「特に思い当たりません・・・・・・」
影「じゃあもうキンチョーする理由はないよなぁー?もぅやっちまったもんなぁー?1番怖い事・・・」
影山はサーブが打ち込まれた後頭部に手をやりながら、今にも怒りを爆発させそうな勢いで更に日向君に接近していた。
影「・・・それじゃあ、とっとと通常運転に戻れバカヤロー!!!!」
日「!!!!」