第23章 それぞれの誤算
田中先輩に繋がれたボールは、青城チームの3枚ブロックによってネットを超えることを許されなかった。
金太郎に、国見ちゃんに、花巻さん?
金太郎達はともかく、矢巾さんが敬語って事は・・・3年生なのか。
学年もバラつきあるのに息ピッタリなブロック・・・
それだけ青葉城西って、凄い所なんだなと思う。
それに比べ、烏野は・・・
日「ぅわっっ!!」
田「おいっ?!」
日向君が田中先輩と衝突したり・・・
日「わぶっ!!」
影山の隣でイキナリ転んだり・・・
澤「日向~!!!」
ボールに突っ込みすぎて審判台に突進する始末・・・
澤「1回落ち着こう、な?」
この前みたいに記録は書いてるけど、これじゃあ正確なデータ取るのは難しい。
ー ピッ! ー
青城のタッチネットで得点が動いた。
いま、24ー13か。
影「テメェ!いい加減その緊張ヤメロ!!!」
日「うぅぅっ・・・」
影山はそう怒るけど、日向君を見てると緊張だけじゃない感じもするんだけどな。
でも今のでサーブ権が烏野に変わるから、流れを変えるならチャンス。
澤「よし!確実に1点ずつ返して行こう!・・・次のサーブは・・・」
あれ?澤村先輩の顔色が悪い?
だって次のサーブは・・・?!
このタイミングでサーブが日向君?!
思わず記録を取る手が止まってしまう。
ボールを持ったままその場から動かず、前さえも見えてない日向君は、とてもサーブなんて出来る状態じゃない。
『菅原先輩、誰かピンサ、』
ー ピッ! ー
菅原先輩に、せめて日向君のピンチサーバーを出す事は出来ないかと訪ねるのと同時に、審判のホイッスルが鳴る。
日向君!!
ホイッスルの音に肩を跳ねさせ、慌てるようにボールを放り上げ・・・打った・・・。
私達ベンチ組は、息を止めるようにボールの飛ぶ先を祈る。
だけど・・・
そのボールは豪快に鈍い音を立てながら影山の後頭部を直撃して、落ちた・・・
日「・・・あ・・・・・・やっ・・・ちゃっ・・・た・・・」
こっちの状況なんてお構いなしに、審判がホイッスルを鳴らし、得点版の数字が動く。
田「ぎゃっハハハハハッ!!!」
月「プッ・・・ナイス後頭部~!」
田中先輩が笑い出し、あの月島君までもが更に笑う。
月島君があんなに笑うのは珍しい事だけど、今は笑っちゃダメだって!