第22章 終わりと始まり
城戸は高くトスをあげて、真ん中のヤツがスパイクする。
矢「へぇ、紡さんってお手伝いって言ってたのになのにあんな事も出来るんだ?」
国「紡は、中学でバレーやってましたから。今は知らないけど」
矢「そうなんだ?あんな可愛い子がいたのに気が付かなかったなぁ」
・・・。
しっかしなぁ、楽しそうだな城戸。
矢「おい、アイツさっきのでかいヤツじゃね?あのメガネの」
あぁ、城戸の事をポチとか呼んでたヤツか。
山「あっ!」
真ん中のやつがレシーブミスで、ボールが弾けた。
『大丈夫!任せて!』
城戸が素早く回り込みフォローに入って主将にトスを繋ぐ・・・
えっ、あっ!
『わわっ、どいてっ!』
バランスを崩した城戸がこっちに突っ込んでくる!
「あぶなっ!」
咄嗟に手を伸ばし、国見と同時に城戸を受け止めた。
『・・・ナイスカバー金太郎!と、国見ちゃん・・・』
国「アホか!オレ達がいなかったら壁とご対面だろうが」
ペシっと国見が城戸の頭を叩く。
澤「すみません!ケガはありませんか?!」
オレ達を見て血相変えて烏野の主将が走ってくる。
「いや、別になんとも・・・」
澤「ホントすみませんでした!ほら紡も!」
『あはは・・・ごめんなさい』
澤「全く、ムリにフォロー入らなくていいからな?」
そう言いながら主将がコートに戻り、城戸も小さくゴメンネっと手をあげた。
国「紡、相変わらず小さいな。胸はしっかり
育ってたけど、アイツ何カップあるんだ?」
金・矢「「む、胸?!」」
国「ちょっと、柔らかいのがムニュっと来た」
国見が無表情で右手を閉じたり開いたりする。
む、胸・・・
ムニュって・・・・・・触ったのか胸?!
国「金田一・・・お前ホント分かりやすいヤツだな・・・あれは事故だよ事故」
「う、ウルセェ・・・」
国見から顔を背けると、岩泉さんの姿が目に入り驚いた。
・・・オレ達が見た事のない、穏やかな顔。
今は彼女じゃない、って言ってたけど。
あんな顔で城戸を見てるとか、じゃあなんで別れたんだ?
俺は何となくモヤモヤしながら、コートの中で走り回る城戸を見ていた。