第22章 終わりと始まり
澤村先輩にそれだけ伝えると、岩泉先輩は自チームへと戻って行った。
澤「みんな聞いてくれ!少し時間貰ったからコート入ってボール使うぞ!全員すぐに用意!」
「「ッス!!」」
バタバタとみんなが動き出しコートへ入る中、澤村先輩はみんなとすれ違いながら私の方へと向かってきた。
澤「紡、気分転換に体動かしてみない?」
『私?ですか?』
澤「そう、気分転換。これからサーブどんどん打ち込ませるから、俺と山口と反対側に入ってひたすら拾うってのはどう?上手く拾えたら、ルール無視していいからトス上げてくれたら打つし。そのあと残りの時間使ってスパイク練習させるから、その時は紡がトスあげて?」
『でもそれなら、影山と菅原先輩が上げた方が練習になるんじゃ・・・』
私がそう答えると、澤村先輩は笑いながら屈み小声になった。
澤「試合始まるまでは影山の成長した姿を隠しておきたいんだよ。向こうには同じ中学出身が何人もいるし、それに日向もまだ戻ってないから烏野の秘密兵器を出し惜しみしたいんだよね」
澤村先輩に言われ青城チームを見ると、確かに同学年では金田一君や国見ちゃんがビブスをつけている。
それ以外にも学年が上の人達だって、よく見れば北川第一の出身者がチラホラ見えた。
「・・・そういう事でしたら、お手伝いします。程よくいま、こんな格好してますし」
月島君に小学生だと言われた姿を両手を広げて見せると、澤村先輩もそれを見て笑う。
澤「そうと決まれば、行こうか!」
『はい!』
コートに駆け出す瞬間に、月島君が私の腕を掴みそれを止めた。
月「ちょっと、そんな格好で行くの?」
『そんな・・・って、この格好じゃマズイ?』
改めて自分の姿を確認しても、別におかしくはないと思うんだけど・・・
それを伝えると、月島君はため息混じりに、あのさぁ、と言い出した。
月「・・・透けちゃってるんだけど、ピンクのが。僕は別に構わないけど、ハニートラップでも仕掛けるつもり?敵にも、味方にも?」
ピンクの・・・透けて・・・?
『わわっ!』
胸元を隠し、その場に屈んだ。
それと同じくして、澤村先輩が自分のジャージを取りに戻ると私に手早く袖を通させた。
澤「き、き、着てなさい!自分のが乾くまで絶対着てなさい!」
『でもこれ着てたら汚れてしまうし』
それに、動きにくい。