第22章 終わりと始まり
菅「まぁ・・・ここで全着替えはマズイでしょ」
なんだそんな事か、と思いながらストンと脱いでしまうと2人とも、わっ!と言いながら背中を向けた。
『大地さんも菅原先輩も、心配しなくて大丈夫ですよ?ジャージの下にはゲームパンツ履いてますから』
笑いながら言うと2人とも振り返り苦笑する。
清「私は多分そうだろうなと思ってたけど・・・さすがセクハラとムッツリ・・・」
澤・菅「「清水?!」」
『それに、小学生じゃないんだから、ここで全着替えとかはしないですって』
濡れたジャージをイスにかけながら私が言うと、隣でサポーターを付けていた月島君がチラリと私を見た。
月「見た目は変わんないけどねぇ」
『ちょっと!』
月「しかもTシャツに半パンとか、小学生そのものデショ」
それに関しては言い返せないところが悔しい。
ここ数日の経験から学習して、中の替えは数枚あるんだけど・・・
まさかジャージ上下がびしょ濡れになる事なんて、想像すらしていなかったから。
『そのうち乾くから、それまではなんと言われようと仕方ないよ』
月「ふぅん・・・」
床にペタンと座り込み、シューズを履き紐を結ぶ。
貴重な時間を、澤村先輩はくれた。
だから、少なくとも今日1日はみんなの為に働こう。
明日からどうすればいいかなんて事は、家に帰ってからじっくり考えればいい。
『よしっ!』
両手で頬を叩き、雑念を振り払う。
記録取りの為のノートやペンを用意して、日付、場所、ビブスの番号と、それをつけているメンバーの名前を書き込んだ。
1番ー澤村、2番ー田中、3番ー縁下、4番ー影山、5番ー日向、6番ー月島・・・と。
そう言えば、日向君と田中先輩の姿が見えないけど・・・
またお腹痛くなっちゃった?とか?
様子を見に行った方がいいかな・・・
イスから立ち上がり澤村先輩に許可を貰おうと歩き出すと、青城側から岩泉先輩がこっちに向かって歩いて来るのが見えて、思わず踵を返した。
岩「うちのコーチと話したんだが、イキナリ練習試合スタートさせんのも何だしって事で、そっちに15分時間作ったから好きにコート使ってくれ」
澤「それは、ありがたいけど・・・」
岩「さっきの詫び・・・ってワケでもねぇが、練習試合とはいえベストな状態でやりたいだろうから。ま、そういう事だ」