第22章 終わりと始まり
澤村先輩の胸を借りて、思い切り枯れるまで泣くと、少しずつ落ち着きを取り戻す事が出来た。
澤「落ち着いた?」
『はい・・・あの・・・すみませんでした』
澤村先輩は何も言わず、私の頭に手を乗せ、微笑んでいた。
澤「戻れそう?」
そう聞いてくる澤村先輩に、笑顔で返す。
それを見て、じゃあ行こうかと促された。
体育館の中に戻ると、清水先輩が駆け寄り、心配したのよ?などと言ってオデコを指先で押された。
『ご心配かけてすみませんでした・・・あの、ちょっといろいろと・・・あって』
濁しながら言うと、まぁその辺は解決してるから・・・と澤村先輩がそれ以上追求されることのない様に付け足した。
澤「それより清水、悪いんだけど・・・このお転婆女子が身支度終わるまで、頼める?」
清「身支度?」
澤村先輩に言われ、清水先輩が私を見た。
『あ、大丈夫です!パパッと終わらせますからっ』
私は言いながら髪を解き、タオルでバサバサと拭く。
清「水・・・じゃないわね?」
濡れた髪をすくい上げ、清水先輩が指先で擦った。
『月島君のドリンク入れてる時に、ちょっと手違いで被っちゃって・・・びしょ濡れになっちゃいました、あはは・・・』
清「月島の?・・・待ってなさい、タオル濡らしてくるから」
スッと清水先輩が離れ、すぐにすすいだタオルを持ってきて髪をキレイにしてくれた。
清「乾くまでは髪を下ろしといた方がいいわね。ちょっと城戸さん、動かないで?」
言われたままにおとなしくしていると、手際よく両サイドの髪をすくい上げ、バレッタで留めてくれた。
『ありがとうございます。清水先輩にやって貰えると美人になった気がします!』
ニコニコ顔でお礼を言うと、何言ってんだか、と笑ってくれた。
『じゃ、時間もないし着替えちゃいますね!』
言いながら上着のファスナーをサッと開けると、周りにいたみんながギョッとして私を見るも、全く気にせず袖を抜いた。
ポイポイっとシューズを脱ぎ捨て、ズボンに手をかけたところで菅原先輩がこえをあげた。
菅「わぁーっ!!紡ちゃんストップ!!」
『はい?』
菅「やっぱアレ!あの、ほら!青城の人に言って女子更衣室借りてきなよ!」
『更衣室?どうしてですか?』
澤「どうしてって、さすがにここでそれ以上は着替えるのはちょっと・・・なぁ、スガ?」