第22章 終わりと始まり
~澤村side~
武田先生と挨拶を終わらせ、俺達の場所へと戻る。
さっき向こうの監督に呼ばれて俺達と挨拶を交わした相手。
あれは確かに、あの写真立ての人物と同じだった。
てっきり主将の及川が出てくるかと思っていたのに、まさかの人物の登場に驚いて、副主将だと聞かされて思わずジッと顔を見てしまったが・・・
怪しいヤツだと、思われてなければいいけど。
でも、本人から話は聞いてはいたけど、いざ本人を目の当たりにすると、やっぱり・・・
あぁ、やっぱり青城にいるんだと実感してしまう。
頑なに断りを入れてきた彼女が、どんな思いで、どんな決断をして、今日までの約束とはいえ俺達と一緒に活動してくれている。
だからこそ、だ。
なるべく紡を接触させないようにして、これ以上は傷つけたくはない。
側にいるなら清水が適任だとは思うが、あの話を清水は知らないからな。
ここはやっぱり、スガに・・・
あれ?
スガと紡を呼ぼうとして、メンバーがいる方へ目を向けると、そこに紡の姿はなかった。
どこへ行ったんだ?
また日向の様子でも見に行ってるのか?
いや、日向の方は田中が後からついて行ったから、それはないだろう。
清「澤村、ちょっと」
「あぁ、ちょうどよかった。あのさ、紡って今、どこにいるのかわかる?」
清「それなんだけど。城戸さん、ドリンク作りに行ったきり戻らなくて・・・ボール圧の方は菅原と縁下達がやってくれるって言うから、私ちょっと様子を見に行きたいの。だから、少し外してもいい?」
ドリンクを作り行ったきり戻らない?
迷ってる・・・訳はないか。
ここの体育館は確かに広いけど、小さい頃からいろんな体育館に出入りしている紡が迷子になるなんてことはないだろう。
まさか・・・
嫌な予感が浮かぶ。
体育館の中を見渡す限り、さっきの副主将の姿が見当たらない。
もしや・・・呼び出されたのか?!
いや、待て。
清水はドリンクを作りに行ったら戻って来ないって言ったよな?
じゃあ、バッタリ鉢合わせた可能性も・・・
清「澤村?」
「清水、ちょっとその辺を俺が見てくるから、清水はスガに指示を貰って動いてくれる?」
清「それは構わない。けど澤村、何かあった?」
「いや、特には?」
清「そう。何となく顔が怖いから。あ、いつもか」
「ちょっと?!」