第22章 終わりと始まり
そして紡は、自分はマネージャーではないといって、まだ分からないけどと付けたし、それから・・・
気が向いたらプレーするかも・・・でも、それはもうないかな?などと薄く笑った。
「やれよ、バレー。今すぐにじゃなくてもいいから・・・今だから言うけどよ、俺はお前がプレーしてる姿、好きだ・・・」
ズルイ言い方だって、自覚はある。
今までそんな事を紡に言ったこともない。
・・・だけど。
それを伝えられるのは、今しかない・・・そう思った。
『こういう時にそんなこと言うの、反則ですよ・・・ハジメ先輩、ズルイ・・・』
紡は寂しそうに笑い、みるみるうちに大きな瞳に涙を浮かべ始める。
そんな紡の目尻にそっと触れながら、俺は精一杯の穏やかに笑った。
「そうだ。俺はズルイんだ・・・だから俺は今でも、お前が、」
・・・好きだ。
そう、言いかけた時、紡を呼ぶ誰かの声がした・・・
紡は弾けるように声の方を見て、その相手を確認すると、少し困惑した顔を見せた。
『・・・大地さん・・・』
大地さん・・・?
紡の声に、俺も同じ方を見る。
あれは、烏野の主将・・・
確か、澤村・・・とか言ってたな。
その相手は俺達の状況を見て、歩み寄る足を早めた。