第22章 終わりと始まり
『一緒にいることも、一緒に走る事も・・・出来なかったじゃないですか・・・』
岩「・・・・・・・・・」
長く続く沈黙が・・・とても痛かった・・・
岩「ぉ・・・れの・・・俺の・・・せいか・・・?」
苦しそうに言いながら、ハジメ先輩が私を見る。
『ハジメ先輩のせいとか、そういうんじゃ、ないです。私が自分で決めた事だから』
言いながら俯き、ギュッと目を閉じた。
岩「・・・ひとつ、聞いていいか?」
そう聞かれ、小さくコクンと頷いた。
岩「バレーやめたった言ってたのに、烏野でマネージャー仕事してんのは・・・なんでだ?」
『それは・・・』
俯き、目を閉じたままで、思い浮かんだのは澤村先輩の言葉だった。
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澤「誰かの1歩後ろからでも全力でついて行きたかったって、言ってたよね?でも、これからは俺達と一緒に、全力で突っ走って行くってのはダメかな?城戸さんの未来、少しだけ俺に預けてみない?」
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澤村先輩の言葉を聞いた時、私は体中に電流が走ったように感じたんだよね。
私は閉じた目を開け、顔を上げて、ハジメ先輩と視線を合わせた。
『ある人に、言われたんです。自分達と一緒に、全力で突っ走って行くのはダメかな?城戸さんの未来、少しだけ俺に預けてみない?・・・って。それを聞いた時、正直・・・心が震えました』
岩「それで、烏野バレー部のマネを?」
そう返され、私は無言で首を振った。
『私はまだ、マネージャーなんかじゃないです。これから先はまだわからないし、それに・・・また、バレーやりたくなったら・・・それはもう、ないかな・・・』
岩「やれよ、バレー。今すぐにじゃなくてもいいから・・・今だから言うけどよ、俺はお前がプレーしてる姿、好きだ・・・」
涙が、溢れそうになって・・・
視界がジワリと滲み始める。
『こういう時にそんなこと言うの、反則ですよ・・・ハジメ先輩、ズルイ・・・』
岩「そうだ。俺はズルイんだ・・・だから俺は今でも、お前が、」
ー 紡? ー
ハジメ先輩が何かを言いかけた時、誰かが私を呼んだ。
『・・・大地さん・・・』
澤村先輩は私とハジメ先輩が向き合うのを見て、向かってくる足を早めた。