第22章 終わりと始まり
とりあえずは及川が戻るまで、メンバーを見てないとな。
金「あの、岩泉さん。監督とコーチが呼んでますけど・・・」
金田一に声をかけられ、あぁ悪いと返しながら早足で監督達の元へ向かった。
監「烏野高校の顧問の先生と、主将だそうだ」
武「烏野高校バレー部の顧問をしてます、武田です」
澤「主将の澤村です。今日はよろしくお願いします」
監督から軽く紹介された2人は、丁寧に頭を下げて来る。
「副主将の岩泉です。主将はいま席を外しているので俺が代わりに」
主将が怪我で・・・なんて言えるはずもなく、とりあえずの挨拶をした。
・・・なんだ?
この主将の澤村ってヤツ、妙に俺をジッと見て来るが・・・
「あの、何か」
澤「あ、いえ。・・・あ、これは今日お招き頂いたので、宜しければ皆さんでどうぞ」
差し出されたものを素直に受け取り、こっちも礼を言って返す。
手渡された紙袋はズッシリと重く、いったい何が?と視線を落とすとチョコレートの大袋がたくさん詰め込まれていた。
「こんなにたくさん・・・返って申し訳ない」
そう言うと烏野の主将は軽く笑い、お世話になるので・・・と言った。
澤「青城はメンバーもたくさんいるし、ほんの気持ち程度になってしまいますが・・・でも、チョイスはうちのマネージャー補佐の子で味はお墨付きです。疲れた時はチョコレートが1番!だそうです」
「そうですか。すみません、お言葉に甘えます。じゃ、今日は短い時間ですがお互い有意義な練習試合をしましょう」
そう言ってその場を収めて、俺達はそれぞれの立ち位置に戻った。
・・・あのメーカーの、そういやアイツもよく食ってたな。
及川が疲れた疲れたと連発すりゃ、良い物あげますとか。
夏期講習の帰りに、頭使ったからチョコ食べよーとか言ってはカバンから出して食べてた。
・・・・・・・・・。
どうしたってんだ、俺は。
昨日からやたらアイツの事ばかり思い出してる。
これから練習試合やるってのに、気合い入れ直さねぇとな・・・
両手で顔を叩き、自分で自分の気合いをいれた。
まだ時間はある。
もう1順スパイク練習回しておくか。
コートの中に声をかけようとして、メンバーの1人が足りないのに気がついた。
あいつ、どこいったんだ?
さっきまではコート内にいたはずなんだが。
「矢巾!松川どこ行った」